本格化し始めた人口減少に対応するには、社会の仕組みを大きく見直さざるを得ないだろう。喫緊の課題は、社会の支え手の減少を少しでも食い止めることだ。 自治体や企業、個人の力には限界がある。政府が目指すべきビジョンを示し、国を挙げて「国家の危機」に立ち向かわなければならない。 総務省の推計によると、平成23年10月1日時点の総人口は約1億2780万人で、前年比25万9千人減った。過去最大の落ち込みだ。減少幅は今後も拡大してゆく。あと数年もすると50万人以上となり、100万人単位で減る時代も遠くない。 しかも、出産可能な年齢の女性が激減する。出生数の大幅増は望めず、人口減少の流れを止めることは難しい。少子化対策に引き続き全力を挙げるのは当然だが、社会が縮小することを前提に国づくりを行う必要がある。 とりわけ深刻なのは、勤労世代が今後50年で半減することだ。経済や社会保障だけでなく、あらゆる分野で厳