富士フイルムホールディングス(HD)が「総合ヘルスケアカンパニー」としての地歩を固めつつある。2012年春をめどに協和発酵キリンと合弁会社を設立し、バイオ後発薬に参入。化粧品事業も欧州への進出を決めるなど、新たな事業の柱である「医薬」と「コスメ」で積極策を打ち続けている。社名から祖業である「写真」を外して5年。強みを持つX線画像診断装置も基軸の一つに据え、成長の道筋が明確に開けてきた。 ◆デジカメ普及 「(富士フイルムの)高度な生産技術と協和発酵キリンの医薬品開発技術を融合させる」 11月16日、東京都内のホテル。フラッシュが激しく光る中、富士フイルムHDの古森重隆社長は、隣に座った協和キリンの松田譲社長に目をやった。両社はバイオ医薬品の後発薬「バイオシミラー」を開発・製造する合弁会社の設立を発表した。 バイオ医薬品は化学合成では作れない生体分子を使うため、副作用が少ないとされる。