『自由論』『功利主義』で知られるJ. S. ミルとは何者だったのか。教科書に必ず出てくる思想家だが、何がすごいのか。 実はその生涯は波瀾万丈、思想の中身は150年後のSNS時代でも古びない鮮烈なものだった――! 没後150年にあわせて刊行された中公新書の評伝『J・S・ミル――自由を探究した思想家』の著者であり、岩波文庫版『自由論』『功利主義』の翻訳者でもある政治哲学者の関口正司氏が解説する。 ※本記事は関口正司『J・S・ミル――自由を探究した思想家』から抜粋・編集したものです。 9人兄弟の長男として誕生したJ. S. ミル イギリスの首都ロンドンの主要な鉄道ターミナルのひとつに、キングスクロス駅がある。市内の北部に位置し、近いところではケンブリッジなどイースト・アングリア各地、遠くはエディンバラをはじめスコットランドの諸都市に向かう列車の始発駅である。「ハリー・ポッター」シリーズのファンに