猫のほうが信頼できる 評者は猫好きだ。中学1年生のときから、いつも周囲には猫がいた。しかし、猫を心の底から信頼するようになったのは、2002年5月に鈴木宗男事件に連座して、東京地方検察庁特別捜査部に逮捕され、小菅ヒルズ(東京拘置所)の独房で512日過ごした後だ。 最初の夏と冬は冷暖房のない獄舎で暮らした。夏は房内の温度が40度近くになり、蒸し風呂のような暑さで頭がくらくらした。冬、雪が降ると房内の気温は5~6度になり、寒さで全身が震える。こういう環境も慣れれば何とかなった。また、検察官の厳しい取り調べにも耐え抜くことができた。 しかし、起訴された後、独房に差し入れられた調書を読んだときには衝撃を受けた。評者が信頼していた外務省の上司や同僚、さらに親しくしていた学者が、評者を悪し様に罵り、厳罰に処すようにと供述していたからだ。 信頼関係が確立したと思っていても、人間は簡単に裏切るという現実を