「前書き図書館」メニューページはこちら 進化はなぜ哺乳類にたどりついたのか 現在、地球上で最も繁栄している生物、哺乳類。生物にとって最も重要なのは、子孫を確実に残すこと。つまり、その繁栄のカギは「乳」というシステムにあった。 水中を追われ、陸上に逃げ出した生物が、どのように体のしくみを変え、どのように子育てや子作りの方法を変えたのか。進化の歴史を丹念にたどり、哺乳類、そして人という生き物の本質に迫る。 はじめに 古代ギリシャ時代、アリストテレスは生命の誕生について自然発生説をとなえ、ミツバチやホタルは草の露から生まれ、ウナギやタコ、イカなどは海底の泥から生まれるとした。これを疑う人はルネサンス期までいなかった。科学的に否定したのがパスツールで、一八六一年のことである。 ところが三八億年前に出現した生物は無機物から誕生し、自然発生説と同じようなことになっていた。しばらくして多細胞生物となり、