親友が死んだので、契約通り事を運ばなければならない。葬式を終え、俺は会社のデスクに直行した。彼と交わした契約書のデータを見付けると、それを頭から読み返す。三度読んで、カラー印刷し、綺麗な封筒に入れて鞄に放り込んだ。翌日の朝一番に向かったのは彼の家だった。葬式が終わり何も手に着かない彼の奥さんを見ると心が痛んだが、俺は半ば強引に家に押し入り、説明を開始した。 俺が数年前に始めた小さな会社に彼が訪れてきたのは突然だった。密室の打ち合わせスペースでは、深刻な顔で昼間から色んな単語が飛び交った。もうこの時点で部下にも聞かせる訳にはいかない。彼は結婚し、子宝に恵まれ、今から働き盛りだと主張した。だからこそ、万が一の際に後を濁したくないのだという。同じ男として、心底理解できる話であった。彼に専用のシートを手渡し、リストの作成を依頼した。個人口座から月額料金が引き落とせるよう設定し(月々は微々たる金額な