「震災による死」に人々はどう向き合い、感じてきたか。この春に卒業する東北学院大の社会学のゼミ生たちがフィールドワークを重ねて、卒論を書いた。工藤優花(ゆか)さん(22)は、宮城県石巻市のタクシー運転手たちが体験した「幽霊現象」をテーマに選んだ。 50代の運転手は工藤さんに、こう打ち明けた。 震災後の初夏。季節外れのコート姿の女性が、石巻駅近くで乗り込み「南浜まで」と告げた。「あそこはほとんど更地ですが構いませんか」と尋ねると、「私は死んだのですか」と震える声で答えた。驚いて後部座席に目を向けると、誰も座っていなかった。 別の40代の運転手。 やはり8月なのに厚手のコートを着た、20代の男性客だった。バックミラーを見ると、まっすぐ前を指さしている。繰り返し行き先を聞くと「日和山」とひと言。到着した時には、もう姿はなかった。 工藤さんは3年生の1年間、毎週石巻に通い、客待ちの運転手をつかまえて
【宮本茂頼】「亡くなった知人が幽霊で出た」「先に逝った家族がお迎えに来た」――。医学的に幻覚と退けられがちだった「心霊現象」を、心のケアにいかすための研究が進む。こうした話に宗教者らが耳を傾け、不安を和らげる効果が期待されている。 東北大(仙台市)の高橋原准教授らのグループは7月、宮城県内の寺院や神社、教会など約1400の宗教施設にアンケートを配った。犠牲者の多い東日本大震災の被災地では、幽霊やお化けの目撃談が頻繁に聞かれる。僧侶や神職らに、どのくらい体験が寄せられ、どう対応しているかを調べるのが目的だ。まだ集計中だが、「実際に体験した人からの相談が思った以上に多い」と高橋さん。 家族や知り合いを亡くした人だけでなく、犠牲者の多かった場所で不思議な光景を見聞きし、ショックを受けるケースも目立った。高橋さんは「医者に行くと、眠れないなら薬を出しましょう、となることが多い。まずは話を聞き、安心
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