大衆は、「生命は価値を付け難い」という概念をどうしても抱いてしまうので、危険効用による衡量過程(process of risk-benefit balancing)に反対してしまうことになる。ゲイリー・シュワーツ教授は、危険効用分析が適切なばかりか、不可欠であるとさえ確信しているようであるが。 このような問題は、二つの文化の問題("two culture" problem)である。すなわち、危険効用の基準を明らかに受容可能とする公共政策(public policy)的な分析から発展した一つの文化と、その基準を苦痛であるととらえる傾向にある世論(public opinion)の文化とである。公共政策的な衡量のためには命の価値を計らなければならないけれども、多くの人は公共政策における死の意味に対してアンビバレントな気持ちを抱くのである。それは子供が犠牲者になった事件で顕著に出るように、子供の被