洋菓子のヒロタを興した廣田定一。10代の頃から腕の立つ菓子職人だった。 会社としてのヒロタ1号店となる戎橋店。1階が洋菓子店店舗、2階は喫茶室だった。 子供の頃、会社の帰りに父がお土産を買ってきてくれることがあった。どんなものだったかほとんど思い出せないのだが、ひとつだけ、はっきり覚えているお土産がある。 「ヒロタのシュークリーム」。今のように4個入りの細長いパッケージではなく、大きめの四角い箱にたくさんのシュークリームが並んで入っていた。ふわふわのシューと、とろりとまろやかなカスタードクリーム。子供にとっては夢のようなおやつだった。一口で食べるのがもったいなくて、チマチマ時間をかけて食べていた。 40代以上の関西出身者に聞くと、同じような経験を持つ人が意外に多い。「大人になったらヒロタのシュークリームを腹いっぱい食べるのが夢やったね」。そんな声も耳にする。現在は関東にも店舗があるが、ヒロ