職員のうち私を含め六人は、高台にある旭ヶ丘団地に車(消防車両)を上げ、他の職員は国道を下って来た車を町中に行かせないよう誘導するものと通信勤務に分かれた。旭ヶ丘団地に車を停め、振り返えると市街地は川のようになっており、消防署は二階の窓の八分目まで浸水していた。想定外なんてものではない。何分間か、なす術もなく見守っていたが、あちこちから救助要請があり、流出家屋と瓦礫の上を救助に向かった。 住民が流されてきた家屋の中にいる人を助けようと素手で屋根をはがしていたので、ノコギリ、バール、チェンソーを団地から集めてくるよう依頼し、高台からの津波監視も依頼した。一度水位の変化があり、流出家屋の中の要救助者に「必ず戻って来るから」と声をかけ、土手の上に退避したが、それ以上水位の変化は無く、約三〇分後に夫婦を救出した。直ぐに「もう一人いるから手伝ってくれ」と声がしたので救助にあたった。まだ、現場を見れば見