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経済協力開発機構(OECD)が発表した「対日経済審査報告書」で引用され、2006年7月に日本の格差拡大を示すデータとして日本のマスコミにも紹介された相対的貧困率のデータをかかげた(厳密には「対日経済審査報告書」で示されたデータとは異なるが同じ概念のデータである)。 相対的貧困率とは中位水準の所得の半分以下で暮らす人々の割合を示す貧困指標である。世界で一番貧しい大統領と呼ばれるウルグアイの前大統領ホセ・ムヒカ氏によると「貧乏とは少ししか持っていないことではなく、無限に多くを必要とし、もっともっとと欲しがることです」(大統領在任中の2012年国連リオ会議での発言、東京新聞2016.4.7)。相対的貧困率とはこうした貧困概念にそった指標であるといえる。 相対的貧困率という概念そのものに積極的な意味を見出せなかったのでこれまで図録化して来なかったデータであるが、新聞や啓蒙書(例えば橘木俊詔「格差社
日本の所得格差が拡大している点については新聞等で取り上げられることが多い。例えば厚生労働省の2001年時点の所得分配についての「所得再分配調査」の公表(2004年6月25日)結果を日経新聞2004年6月26日が報じ、その後、「しんぶん赤旗」(7月2日)やインターネットの掲示板では貧富の差の拡大として政権批判にまで及んでいる。確かに日本の貧富の格差は拡大していると考えられるが、いつからかやその程度が問題である。上の厚生労働省調査のうち当初所得(税引き前)は、他の調査と違って、公的年金給付や生活保護費などのその他の社会保障給付を含んでいない。従って高齢者世帯が増加すると所得ゼロの世帯も増加し、結果として、所得格差が大きく指標化されるため貧富の格差という観点からは誤解を生じやすい。 日本の所得格差を世界各国の貧富の格差の中で位置づけたグラフをすでにいくつか作成しているが(図録4650、4652参
日本政策学校代表理事の金野索一です。 「日本の選択:13の論点」と銘打ち、2012年の日本において国民的議論となっている13の政策テーマを抽出し、そのテーマごとに、ステレオタイプの既成常識に拘らず、客観的なデータ・事実に基づきロジカルな持論を唱えている専門家と対談していきます。 政策本位の議論を提起するために、1つのテーマごとに日本全体の議論が俯瞰できるよう、対談者の論以外に主要政党や主な有識者の論もマトリックス表に明示します。さらに、読者向けの政策質問シートを用意し、読者自身が持論を整理・明確化し、日本の選択を進められるものとしています。 今回は前回に引き続き、【雇用】をテーマに海老原嗣生氏(株式会社ニッチモ代表取締役)と対談を行いました。 海老原氏は、産業構造の変化により製造業の仕事が減り、対人折衝能力が必要なサービス系の仕事が増えたことで雇用のミスマッチが起こっていることを関心事とし
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確かに「日本人の中で生活保護を受けている割合」より「外国人の中で生活保護を受けている割合」は多い。比率にして約3倍となる。ネットでは「日本人の22倍も生活保護受給率」と書いているページもあるが、実際にはこの数字である。ただし、この「外国人」の中でどれくらいが在日かということは統計上はわからない。 ここではその解釈には踏み込まない。なぜなら、仮にこの「外国人」すべてを「在日」と置き換えることが可能であったとしても、そこには二つの解釈ができるからである。 一つは「在日が在日権益のゴリ押しで生活保護を受給しているのではないか」「日本人より基準が甘いのではないか」という見方(あくまでも解釈であって事実かどうかは別問題)。 もう一つは、「在日外国人は日本国籍を有する人より困窮している」「いわゆる在日と呼ばれる特別永住者は高齢化が進行しており、それに伴って生活保護を必要とする困窮の度が増している」とい
【要約】 ・エネルギーや米以外の穀物価格高騰は日本ではデフレ要因となる。 ・日銀はこれまでの固定基準方式CPIに加え、連鎖方式CPIを扱うことになったが、その意義は意外に大きい。 去る5日の日経朝刊では、消費者物価指数の二極化傾向を伝えています。 デフレ経済、実感とズレ 物価が「二極化」 テレビなど大幅値下げ 食品など必需品値上げ 2011/12/5付 日本経済新聞 朝刊 消費者のデフレ予想が薄らいでいる。10月の消費者物価指数(CPI)は4カ月ぶりにマイナスに転じたが、消費者の7割は先行きの物価上昇を見込んでいる。モノやサービスの価格が「二極化」し、食料など必需品の価格が上がっていることが背景だ。ただ、日本の主力産業は値下げ競争が激しい分野にあり、生活感覚とは裏腹に、デフレ脱却の道のりは遠そうだ。(関連記事経済面に) 10月の全国CPIは値動きが激しい生鮮食品を除くベースで前年同月比0.
年も明けて良い機会ということもあり、先日から過去の記事でリクエストの多かったものについて、データ更新や表記方法の見直しを手掛けている。今回は日本の婚姻率・離婚率・初婚年齢の推移をグラフ化した記事の2011年1月版)の掲載からちょうど一年経過したことに加え、直近のデータが【平成23年(2011)人口動態統計の年間推計】として発表されたこともあるので、日本の婚姻率・離婚率・初婚年齢の推移について、今回最新の値を反映させることにした。 まずは婚姻率と離婚率。こちらは厚生労働省が毎年発表している「人口動態統計の年間推計」で取得できる。現時点の最新データは上記にある通り【平成23年(2011)人口動態統計の年間推計】。2011年分については推計データだが、一応数として盛り込まれている。ここから1947年以降の婚姻率・離婚率を抽出し、元々のデータが1000人単位なので%に換算した上でグラフ化したのが次
先日の、ネットレイティングスのFacebookの「利用者数」が実は「視聴率」であり、一般的に考える利用している人の数とは関係ない、統計上の単なるデータである件、いろいろと勉強になりました。 ネット上を散策してみると、「素人が何言ってるんだ」「APIなんて計測から除外しているに決まってるわ」「利用者というのが登録者のわけがない」とリサーチ専門家の方にはさんざんに言われてましたが、11月18日、つまりわたしのブログ書いた直後にリリースがあった模様です。「模様です」というのはネットレイティングスのサイトにはこのリリースがなく、こちらのブログで知ったからです。 で、これを読んでびっくり。 2011年10月データよりmixi(ペアレント、ブランド、チャネル、ドメイン等)に含まれていた集計対象外URLを集計対象外処理いたしました。集計対象外処理とは、視聴率の集計に算入すべきでないURLを排除することで
「若者のクルマ離れ」といった言葉が交わされるようになって5、6年は経っただろうか。 最近の若者は昔と違って……とか、クルマに魅力がないからだ、とか、経済的要因ででクルマを買うことができないからだ、とか様々な文脈で語られことが多いが、実は、そのほとんどが印象論に過ぎない。国交省や警察庁、業界団体の統計データで、たとえば「年齢別のクルマ所有率」なんて統計は存在しない。もちろん、メーカーやディーラーは彼らの内部でのデータはあるのだろう。購入者の中で10・20歳代の若者が占める割合が減っているというのはなんとなく想像できるが、それらがオープンにされることはない*1。きちんとした数字も出さずに「若者のクルマ離れ」ばかり強調しても他の関係者に共感を持ってもらえるはずがないのに…… と、冒頭から話が横道にそれた。 ここに面白い資料がある。「数字でみる自動車」(日本自動車会議所)という、毎年、どこからか私
日本の本当のGDPはどれほどか、皆様はご存知でしょうか?(GDP=国内総生産とは、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額を意味します。) 日本のGDPは、500兆円程度(H17・名目)です。 その中で、政府活動支出・公的資本形成による、いわゆる「公的資金の寄与」が、120兆円程度あるとされています(H12)。この中には、政府が間接的に関与する事業、つまり、第3セクターや事業法人、特殊法人(建設・設備投資を除く)の寄与分は、算入されていません。 つまり、GDPのうち、120兆円+アルファ(3セク・特殊法人など)は、非民間の数字なのです。これらの数字は、税金を再分配しているに過ぎず、新たな活力と付加価値を生み出しているとは言いがたいと考えます。 「+アルファ」の額は不明ですが、特別会計の規模が250兆円(単年度)であることを考えると、やはりそれなりの数字なのではないでしょうか。控えめに、
久しくご無沙汰しておりました。 書くネタ自体は山ほどあるんですが、本業が凄い勢いで動いているのでそっちに集中していましたです。 さて、たまには分析チックなお話を。統計でガチガチの石頭になってしまわないように、常に僕が気をつけていることの1つが「選択バイアスの罠」です。 生還した戦闘機、しなかった戦闘機 あ、ちなみに、いまきは別に統計や分析の(アカデミックな意味での)専門家ではないので、そのあたりはご容赦を(汗 時に1940年ごろ。 世界は第二次世界大戦の真っ只中です。 統計学者のエイブラハム・ワルドという方が戦闘機の脆弱性について調査していたそうです。 帰還した戦闘機の大量のデータが彼の元に届きます。 「入手したデータどれもが、戦闘機のある部分の被弾頻度が他の部分よりも過度に多いことを示していた。」 さて、ここからどういう結論を導けばいいのでしょうか? (ちょっと立ち止まって考えてから読ん
2011/1/117:0 世論調査の現状をデータで整理する 菅原琢 ◇はじめに◇ 筆者は2011年の早いうちに世論調査に関して2つの原稿を出す予定となっている。ひとつは、「世論調査は機能しているのか?―「民意」解釈競争と現代日本政治の迷走」『日本世論調査協会報よろん』107号、もうひとつは「スケープゴート化する世論調査」(『Journalism』2011年1月号)である。 世論調査についてとやかくいう人は増えたものの、日本の世論調査の現状について理解した上での議論というのは驚くほど少ない。その意味で今回紹介する各データは、世論調査を批判したい人にとっても、利用したい人にとっても、役に立つものだろう。 なお、ここで扱う世論調査は、政党支持率、内閣支持率(組閣直前を除く)が聞かれている政治に関するRDD方式の世論調査に限定している。分析の効率の観点から三紙に絞っているが、以下のデータ傾向や議論
昨年、行方不明高齢者が社会問題となったが、住民票がありながら1年以上所在不明な小中学生も全国で326人(小学生238人、中学生88人)に上ることが、文部科学省の学校基本調査(昨年5月1日現在)で分かった。さらに、産経新聞の調べで各教育委員会のずさんな調査の実態が判明。実際にはこれ以上の児童生徒が所在不明とみられ、憲法で保障されている教育を受ける権利がないがしろにされている可能性がある。 日本国籍を持ち、住民登録されている児童生徒については、各市区町村の教委が学齢簿を作る。所在確認できず1年経過した児童生徒は学齢簿から抹消し、別の「簿冊(ぼさつ)」を作成。教委は毎年5月1日の学校基本調査で、簿冊記載の児童生徒の累計を「1年以上居所不明数」として文科省に報告することになっている。 同省によると、該当する児童生徒は、調査開始時の昭和36年は1365人(小学生696人、中学生669人)で年々減
出典 「でき婚」出生数及び人口 2004年までは厚生労働省「平成17年人口動態特殊報告」。なお、でき婚出生数は「平均的な結婚週数の場合」の数値である。 2005年以降…人口は総務省統計局「平成17年国勢調査」、及び同局「人口推計」、でき婚出生数は厚生労働省「平成22年度「出生に関する統計」の概況 人口動態特殊報告」によった。 20代母出生数 厚生労働省「人口動態統計」 20代の中絶率と20代女子人口当たりのでき婚出生率、20代の母親から産まれた子の数に対するでき婚出生率をグラフにすると次のようである。なお、中絶率と人口当たりのでき婚出生率は千分率、子の数に対するでき婚出生率は百分率である。それぞれ単位が違うのでグラフをご覧の際はよく注意していただきたい。 出生に占める「でき婚」の割合の増加ほどには人口当たりの「でき婚」の割合は増えていない。でき婚が増えたのではなく出生が減ったのだ。〔201
OECD諸国の公務員について各国を比較してきた(公務員数は図録5192、中央・地方比率は図録5192a、女性比率・高齢比率は図録5193、公務員数と財政規模による大きな政府か小さな政府かの総括図は図録5194)。 ここでは、同じくOECDデータにより、公務員の給与水準を概ねうかがうことができるデータを掲げることとする。給与には政府による社会保障負担や諸手当も含まれているので、公務員に対する待遇として含まれていないのは低家賃の公務員住宅など限られたものであろう(出所はOECD,Government at a Glance 2009 )。 独自調査の結果ではないがもっと新しい年次のデータは図録5191に掲げた。 公務員が多い国ほど、公務員の給与総額(人件費総額)も多いはずであるが、この2つの相関図を描いてみれば、一般傾向からどれほど離れているかで給与水準が推定されると考えることができる(原デー
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