昨年12月27日の毎日新聞が、福島第1原発事故後に測定された福島県伊達市の住民の個人被ばく線量のデータを基に、早野龍五・東京大名誉教授らが英科学誌に発表した2本の論文について、本人の同意のないデータが使われた疑いがあるとして東大が予備調査を開始したというニュースを報じました。(参照:毎日新聞) 同記事では、調査のきっかけとなった住民からの申し立てで、“図の一部に不自然な点があり、「線量を過小評価するための捏造(ねつぞう)が疑われる」”と指摘されたと報じ、それに対して早野氏が、同紙の取材に対し“「適切なデータを伊達市から受け取ったという認識で対応していた」とメールで回答。「計算ミスがあり、線量を3分の1に過小評価していた」として出版社に修正を要請した”と応じたとしています。 論文自体がどういうものかをみておきます。これは I, II からなる2本で、だれでも無料でダウンロードし、読むことがで
inside Enterprise 日々刻々、変化を続ける企業の経営環境。変化の中で各企業が模索する経営戦略とは何か?ダイヤモンド編集部が徹底取材します。 バックナンバー一覧 英国のメイ首相と交渉する日立の中西宏明会長。原発事故時の損害賠償責任も論点の一つだ Photo by Hirobumi Senbongi、IAEA、Raul Mee 英国で原発の建設と発電事業を行う計画を進める日立製作所と英国との交渉が大詰めを迎える。日立は計画への支援拡充を英政府に求めているが、十分な譲歩を引き出せていない。日立は事業の採算性が見込めなければ撤退も辞さない構えだが、原発を輸出したい日本政府の思惑もあって離脱は簡単ではない。日立が事業開始を最終判断する2019年が近づくにつれ、計画の実行が既成事実化される恐れもある。 この計画は、英中部アングルシー島に原発を新設するもので、日立は12年、事業主体だった
1979年8月21日生まれ。ビジネス誌記事の他、【fukunomo(ふくのも)】、【福島TRIP】など地域の銘酒とペアリング、食や観光を紹介する連載も手掛ける。著書に『「正しさ」の商人 情報災害を広める風評加害者は誰か』(林智裕・著 徳間書店 2022年)。『東電福島原発事故 自己調査報告 深層証言&復興提言:2011+10』(細野豪志・著/開沼博・編 徳間書店 2021年)では取材・構成を担当した他、『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編、太田出版 2016年)ではコラムの執筆を担当。 今年も3月11日が近づいてきました。多大な被害を出した東日本大震災と津波、その後に起こった東京電力福島第一原子力発電所の事故のきっかけとなった日から7年になります。震災直後に中学生だった子供が成人する程の時間がたちました。しかし、いまだに被災地以外の地域では被災地の安全性に対する誤解が残っています。国もよう
官邸や東電本店の要請に従わず、海水注水を強行した吉田昌郎福島第一原発所長。日本中が喝采を送った「海水注入騒動」だが、事故から5年半経って原子炉にほとんど水が入っていなかったことが判明した。 『福島第一原発 1号機冷却 失敗の本質』は、6年間にわたる1000人以上の関係者取材と約428時間に及ぶ東電テレビ会議のAI解析によって浮かび上がった数々の「1号機冷却失敗」の謎に迫った調査報道の力作だ。本書から一足先に「届かなかった海水注水」をめぐる衝撃の事実を特別公開する。 ほとんど注水はされてなかった 2016年9月7日。福岡県久留米市内のホテルはどこも珍しく満室だった。 春と秋、年に2回行われる日本原子力学会の大会に参加するため、全国から原子力関係者が、久留米市に集まっていた。 学会では、原子力安全や放射性廃棄物処理、高速炉などの次世代炉開発、核燃料など様々な分野の専門家が研究成果を発表する。そ
2017.09.19 Tue 「福島で次世代に放射線被曝の影響は考えられない」ということ――日本学術会議の「合意」を読みとく 服部美咲 / フリーライター 2017年9月1日、日本の科学者を代表する組織である日本学術会議の臨床医学委員会放射線防護・リスクマネジメント分科会が、「子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題―現在の科学的知見を福島で生かすために―」という報告書(以下『9.1報告』と表記)を出した。これは、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う子どもの健康への放射線影響と、被曝の健康影響についての社会的な理解や不安の状況についての報告である。この報告を受けて、医療関係者に向けた提言が今後まとめられることになる。 『9.1報告』はUNSCEAR(国連科学委員会)の各年度の白書を引用しながら、これまでの放射線被曝による健康影響についての知見や、福島第一原発事故後の住民の被曝線量の推定値
昨日の記事でいくつかの見解を述べたが、もう少し考えてみたので、追加しておきたい。 まず環境影響評価法についてだが、この施行令を読むのが後になってしまって、どうも適用が難しいだろうということに気づいた。なので、散々書いてみた後の終わりの方でその旨を書いたわけである。 電気事業法29条届出に関して、原子炉等規制法の方で停止要件になっているかどうかを見たのだが、これも該当してはいないように思われた。 そこで、観点をもう少し変えて考えてみた。 カギとなる条文は、やはり原子炉等規制法である。 ○原子炉等規制法 第35条 原子炉設置者及び外国原子力船運航者は、次の事項について、主務省令(外国原子力船運航者にあつては、国土交通省令)で定めるところにより、保安のために必要な措置を講じなければならない。 一 原子炉施設の保全 二 原子炉の運転 三 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の運搬、貯
原発が停止している根拠は? 日本のすべての原発は現在、法的根拠なしに止まっている。それを確認するために、原子力規制委員会・規制庁への書面取材を行ったが、不思議でいいかげんな解答をしてきた。それを紹介する。かなり技術的、専門的な話だが、今後、原子力規制委員会・規制庁の問題を考えるとき、また同委員会への行政訴訟などが行われる場合に、批判者はこの論点を突けばよいと考える。 (参考「新安全基準と再稼動は無関係である」「原子力行政はどこで脱線したのか」池田信夫アゴラ研究所所長) 2012年9月に発足した原子力規制委員会、執行機関の原子力規制庁は翌13年7月に原子炉関係の関連法と規則の改正、それに基づく新規制基準を施行した。 改正の前でも後でも、原子力発電所は私企業のプラントであるために稼働が原則であり、運転の停止は、規制当局が停止を命令するか、あるいは原子炉の設置許可を取り消すしかない。電力会社が原
昨日の記事でいくつかの見解を述べたが、もう少し考えてみたので、追加しておきたい。 まず環境影響評価法についてだが、この施行令を読むのが後になってしまって、どうも適用が難しいだろうということに気づいた。なので、散々書いてみた後の終わりの方でその旨を書いたわけである。 電気事業法29条届出に関して、原子炉等規制法の方で停止要件になっているかどうかを見たのだが、これも該当してはいないように思われた。 そこで、観点をもう少し変えて考えてみた。 カギとなる条文は、やはり原子炉等規制法である。 ○原子炉等規制法 第35条 原子炉設置者及び外国原子力船運航者は、次の事項について、主務省令(外国原子力船運航者にあつては、国土交通省令)で定めるところにより、保安のために必要な措置を講じなければならない。 一 原子炉施設の保全 二 原子炉の運転 三 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の運搬、貯
今回の福島第一原子力発電所の事故は人災だ、人災だ、とよくいわれる。 しかし人災ということばも使い方によって意味が大きく変わってくる。どの部分を問題にしようとしているのか、どういう分析にもっていくのかが全く違うと思う。しかしその部分はあまり深く考えられずにとんでもない方向に議論をもっていく人々が大勢いるように思う。 多くのメディアで当時の首相である菅直人がこの福島第一原発の事故を引き起こした張本人であるかのように、さんざん叩かれている。 しかし私は、この意見に賛同しない。 どういうことか説明していきたい。 人災ということばだが、人間が原因で災害が発生したという意味である。 今回の原発事故を人災という場合においても、どの部分を指して人災というのかで意味合いが違う。 1.福島第一原子力発電所を建てたこと自体が事故の原因であり、それが人災だという意見。 2.福島第一原子力発電所を建てたこと自体は問
2017/02/28 10:07 日本のエネルギー産業は、失敗の歴史が続く。 オイルショック時の石油投資で安宅産業が倒産・伊藤忠に吸収合併。 東日本地震・津波で東電の福島第一原発事故・安全神話の破綻。事故処理上倒産不可。(水俣病のチッソと同様に) 東芝はウエスチングハウス買収など原子力事業の失敗。巨大企業で倒産困難?米国のシェール革命を見通せなかったミスも。 2017/02/27 14:35 ともすれば全てを福島第一原発の事故に結びつける傾向がある中、日経BPがこのような記事を掲載されることは良いと考えます。 同時に、東芝の失敗と言うよりは、日本の業界(電力会社・機器プラントメーカ)、政治家、国民全てが甘い見方をしていたと思います。エネルギーは長期的な観点も持たねばならない。原子力についても廃棄物処理や核燃料廃棄(リサイクル)また核兵器転用をも考慮して便益・コスト・リスクを考えなくてはなら
東京電力の副社長が泣いていた。2月3日、東京・内幸町の本社応接室。福島の、ある被災者に話が及んだ時だった。「すみません…。上野さんの話をすると、つい込み上げてしまって」。福島復興本社代表を務める石崎芳行副社長(63)は、鼻をすすって息を整えた。「上野さん」とは、上野敬幸さん(44)のことだ。南相馬市沿岸部の萱浜(かいばま)地区で農業を営んでいる。副社長はなぜ泣いたのか。東日本大震災と原発事故から間もなく6年。加害者と被害者という立場だけでは計りきれない事情を知ろうと、人々を訪ね、福島を歩いた。(Yahoo!ニュース編集部) 石崎副社長は、上野さんに初めて会った時のことを鮮明に覚えている。震災から2年後の2013年3月。復興本社の代表として、福島に居を移して2カ月が過ぎた頃だった。「知人からぜひ会って欲しいと言われまして」。萱浜を訪ねると、自宅前に上野さんが立っていた。1階は津波で破壊されて
元東京電力社員の半生から、原発と社会について考えるシリーズ。後編は2011年3月11日から始まる。 東電学園を卒業後、東電社員となり福島第1原発、第2原発に勤める。地域に溶け込み、浪江町出身の妻と結婚……。人生で最も幸せな時間を過ごしていた吉川彰浩さんにとって、最大の転機となった。 原発事故、本当の被害とはなにか。彼は言葉を選びながら、語り続ける。 2011年3月11日、福島第2原発3月11日以降のことを話すのに、一つ断っておかないといけないことがあります。私には記憶が飛んでいて、よく思い出せない時期があるんです。そこはご容赦ください。 あの日、私はプラントメーカーの方と2F(福島第2原発)にあるオフィスで打ち合わせをしていました。商談は一段落して、自分の机でお茶を出し、お話をしていました。 午後2時46分です。立っていられないほどの揺れを感じました。ぐらぐらぐらぁっと揺れました。まるで洗
県民健康調査 東京電力福島第1原発事故後、福島県が当時18歳以下の子供らを対象に実施している県民健康調査で、県の検討委員会は15日、甲状腺がんと確定した子どもが100人を超え、全国の甲状腺がんの罹患(りかん)率(がんと診断される人の割合)に基づいた推計を大幅に上回ることから、「数十倍多い甲状腺がんが発見されている」との中間まとめの最終案を大筋で了承した。放射線の影響については「考えにくい」と評価しながらも、「現段階で完全に否定できない」としている。 検討委は疫学やがんの専門医ら有識者で構成。最終案は、2011年10月から昨年4月末まで対象者約37万人のうち約30万人が受診した1巡目の検査結果に基づく。全国の患者の推計によると、検査で見つかる甲状腺がんは福島県の18歳以下で2人程度とされるが、1巡目では100人ががんと確定し、15人が「がんの疑い」とされた。
原子力1基を廃止する九州と中国で、太陽光+風力の接続可能量が増える:電子ブックレット/法制度・規制 太陽光発電と風力発電の導入プロジェクトに影響する「接続可能量」に関して、2015年度の算定値が7つの地域で確定した。原子力発電設備1基の廃止が決まった九州と中国の接続可能量が増える一方、北海道・東北・四国では電力の需要が減少した影響で接続可能量も減る結果になった。 ウェブサイトに掲載した特集や連載記事を、印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」に編集しました。会員の皆様に無料でダウンロードしていただけます。 電子ブックレット→「原子力1基を廃止する九州と中国で、太陽光+風力の接続可能量が増える」 ・電子ブックレットはPDFファイルで作成されています。 ・電子ブックレットは無償でのご提供となりますが、アイティメディアIDへの登録が必要となります。登録ユーザーではない場合や、登録済み
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