「若手官僚の能力とメンタルが落ち、下げ止まらない」 ここ数年、霞が関界隈を歩けば、必ず耳に飛び込んでくるせりふだ。 明治維新以来、日本の政治・経済を牽引してきたのは官僚機構だった。最強のシンクタンクであり、執行機関でもあるその官が瓦解しつつある。今後、20年ほどかけて省庁はその姿と役割を変えざるを得まい。 昨夏の政権交代はその道程の一里塚である。7月から8月にかけて、官庁は民主党政権が誕生して初めての定例人事異動を通過した。 効果を上げる舛添人事 いったん時計の針を1年前に戻す。舛添要一厚労相(当時)が断行した人事は「戦後初」と冠された。医政局長に法令事務官の阿曽沼慎司を起用。保険局長には医系技官である外口崇を当てた。医師でない阿曽沼局長は医政局改革を進めていく。 事務次官候補だった阿曽沼は医政局長を経て次官に就任。後任は前官房長の大谷泰夫。こちらもエース級の扱いである。法令キャリ