政治や社会を鋭く批評したコラムニストの小田嶋隆(おだじま・たかし)さんが6月24日、病気のため死去した。65歳だった。稀代の論客の功績を所縁のある関係者が跡づける連載の第2回は、『GQ JAPAN』前編集長の鈴木正文さんがつづる。 「コラムは雑誌のいのちである」コラムのもとは英語のcolumnで、日本語の「コラム」は、それを翻訳というかカタカナ表記したものにすぎないのだけれど、その英語のもとにはむろん、ギリシャ語やラテン語が控えていて、たとえば古代エジプトやギリシャ、ローマなどの神殿建築を支える台付の柱のことを、「コラム」という。たいがいが装飾された円柱なのだけれど、コラムがなければ、そもそも建物は建物として成り立たない。 この「コラム」は、転じて、新聞や雑誌の、一定数の行のまとまりとしての「段」「段落」という意味にもなり、10行で1段とか20行で1段とかの決まりは媒体それぞれに紙面の都合