政府が防衛力の大幅強化を掲げる中、自衛隊員の確保が課題となっている。応募者は過去10年で3割近く減少し、人員は特に第一線を担う階級で不足。少子化に加えて景気回復で人材獲得競争が激化し、改善は見通せない。ロシアのウクライナ侵攻などで若者に広がる「戦場に赴くのでは」との不安や、相次ぐ隊内のセクハラ、パワハラ問題も拍車をかける。沖縄県・宮古島近海で4月6日に起きた陸上自衛隊ヘリコプター事故の影響も懸念される。 【グラフ】自衛隊員の応募者数などの推移 「休日は自分の時間が結構ある」「食事や寝具は支給され、家賃は一切かからない」-。高校生ら10人が熱心に耳を傾けた。熊本市北区の陸自北熊本駐屯地であった自衛隊熊本地方協力本部(地本)のセミナー。戦闘車両の見学もあり、担当者が「最高速度は何キロでしょう?」などとクイズ形式で説明した。同市の女性(18)は「意外に福利厚生がしっかりしている」とうなずいた。