時代劇「遠山の金さん」「新五捕物帳」や、ヒット曲「すきま風」などで知られる俳優・歌手の杉良太郎さん(68)には、芸能界デビュー前から持ち続けている“別の顔”がある。全国の刑務所への慰問活動だ。受刑者を慰問するだけでなく、現場の職員とも意見交換を重ねて半世紀。平成20年には法務省から民間人初の特別矯正監を委嘱された。反省もなく不平ばかりを並べ立てる一部の受刑者に、進む高齢化、繰り返される再犯…。誰よりも長く“塀の中”を見つめ続けてきた杉さんが、刑務所のあり方について提言を寄せた。(以下、杉さんの寄稿)足が震えた慰問デビュー 刑務所の慰問・視察を始めて、来年で55年になります。 神戸市出身の私は15歳の時、市内の歌謡教室に通っていました。そんなある日、先生から老人ホーム(当時は養老院)や刑務所に慰問に行かないかと誘われました。大勢の前で歌うことに不安もありましたが、神戸など計7カ所を慰問しまし