かつて「ドヤ」と呼ばれる簡易宿泊所に多くの日雇い労働者らが暮らしていた東京・山谷地区で、路上生活者や生活困窮者に対し、無料診療、生活相談、配食事業などの支援活動を行っている団体がある。NPO法人山友会は、当事者が「独りではないと感じて、笑顔を取り戻すこと」をミッションに36年活動を続けてきた。山友会代表でカナダ出身のルボ・ジャンさん(74)は言う。「助けるとか救うとかそういう言葉、俺もうすごい反発。そうじゃなくて生きる者同士、お互いに持っているもの分かち合ってそれで一緒に頑張っていくっていうこと」。ジャンさんの言葉の真意を知るために、彼の活動の軌跡と半生を追った。 ■路地の一角で繰り広げられるささやかな日常風景 山谷地区とは東京都の台東区から荒川区にまたがる地域を指す。簡易宿泊所が並ぶ山谷地区の路地の一角に山友会はある。「おはよう。元気ないな。暑いの当たり前だよ」。ジャンさんは、山友会の外