“Seuils” 1987 Gérard Genette ASIN:489176421X 1.. 文学理論。フランス。 構造主義〜テクスト論の系譜に属する。 いつのまにかテクスト論なんてどっかに行ってしまった状況ではあるが、ジュネットは、ポスト構造主義の陥った節操ないジャーゴン生産による茫漠とした抽象化に傾くことなく、非常に素直で、単純に網羅的。その分析対象はきわめて広大で、ヨーロッパ圏に限定されるとはいえ膨大な資料をひたすら実直に分類していく衒学的な書物でもある。延々と続く分類・区分の記述は「モードの体系」を思い起こさせる*1。 ジュネットがこの書での考察に用意した特別な用語はごくわずかで、まず中枢を成すのが〈パラテクスト〉という概念である。その下位区分として、〈ペリテクスト〉〈エピテクスト〉。これだけ。しかもその内容は平易で、馴染み深い*2。 〈パラテクスト〉は、「純粋な」テクスト以外