私が中学生だった頃、数学の先生が1と0だけで数を表現する二進法を教えてくれた。この1と0を電流が流れている状態、または切れた状態に対応させると、全ての数を電流のオンオフ組み合わせで表せるという。これを利用したのがコンピュータだと聞いて、私はいたく感動した。 その考え方を世界で初めて提示したのが、本書の主人公シャノンである。現代社会に不可欠のパソコン、携帯電話、DVDの全てが、彼なしにはありえなかった。 二進法の最小単位はビットと呼ばれ、文字や画像などの情報はビットの組み合わせで表現できる。情報量の単位としてビットを初めて導入したのがシャノンで、現代のデジタルコンピューターはビットを8個集めた8桁分の巨大情報をバイトという単位で扱う。 本書は「情報理論の父」と呼ばれる天才数学者の評伝で、著者はハフィントン・ポスト元編集長などを務めた名うてのジャーナリストである。シャノン以前にも情報という概念