「異次元の少子化対策」は、まさに異次元の政策である。年間で3.6兆円(概数)もの予算が新たに追加されるにもかかわらず、この対策によって出生率がどの程度上がるのかがわからないからだ。 最近、EBPM(合理的な根拠に基づく政策形成)ということがさかんに言われ、霞が関でもさまざまな取り組みが行われているが、肝心な話になると、なぜかその時々の風向きと雰囲気で政策が進められていってしまう。少子化と人口減少への対応は重要な政策課題であるが、「満蒙は日本の生命線」というノリで「産めよ、殖やせよ国のため」とやっても、首尾よく成果をあげることはできないだろう。 何事についても目的と手段の関係を明確にし、コスパ(費用対効果)をきちんと考えて現実的な対応をとることが必要だ。「これからの6~7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と唱えていさえすれば数兆円規模の支出増が実行に移せるということであれ