一番深刻な事態を引き起こすのは頸椎(けいつい)へのマニピュレーションだという。人間の首の部分には2本の頸椎動脈が通っており、椎骨(ついこつ)の穴を通ったのちに急カーブして脳に達している。 代替医療のトリック p.227 この部分は非常に無防備で、カイロプラクティックで行われる「首を引っ張りながら曲げる」というマニピュレーションにより、椎骨解離(ついこつかいり)が起こる。すなわち動脈の血管壁が剥がれ、そこにできた血の塊がやがて血流にのって脳に到達する。 椎骨解離が起きてから脳の血流が滞るまでには時間がかかるので、カイロプラクティックと脳卒中の因果関係はなかなか気づかれなかったが、近年頸椎へのマニピュレーションによって確かに頸椎損傷が起きることが実例によって示されたという。 2001年にカナダで発表された研究結果によると、45歳未満の若い患者で、それまでに動脈破裂を起こしたことのあるものは、1