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ブックマーク / pmazzarino.blog.fc2.com (23)

  • 陰謀がバレたひとたちのドキュメンタリー反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。呉座勇一さんは『陰謀の日中世史』で、陰謀はほとんど成立しないといってます。陰謀に関わる人間の数が増えるにしたがって情報が流出する可能性も高まるので、陰謀は企んだとしてもたいていバレて失敗するものだと。 その実例が、なんとつい最近起きました。愛知県知事のリコール運動で署名が大量に偽造されたことがバレて、事務局長や関係者が逮捕されたのです。 みなさんすでにご存じとは思いますが、なんでみんなもっと喜ばないのですか? 興奮しないのですか? われわれは、違法な手段で政治を変えようと画策した陰謀がバレて失敗した実例をこの目で見られる幸運に恵まれたのですよ。貴重な歴史の瞬間に立ち会えたことを、もっと喜びましょうよ。 地上波のテレビドキュメンタリーは早朝・深夜に追いやられてしまったので、私は番組表でタイトルだけチェックして興味があるものは録画しておきます。 先日、

  • トロッコ問題のバカらしさを、頭の悪いひとにもわかるように解説します反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。『教職研修』1月号掲載の連載記事で、トロッコ問題の問題点を指摘しました。ことの経緯は、ある小中学校で、授業を担当したスクールカウンセラーがいわゆるトロッコ問題を取りあげたところ、親から苦情が来て、学校側が謝罪したというもの。 ネットを見ますと、トロッコ問題そのもののバカバカしさに気づかない論理思考力欠乏症のひとたちが、苦情をいった親をモンペと決めつけたり、謝罪した学校の態度を批判したりと、お粗末な感情論ばかり。そんなひとたちのために、トロッコ問題のどこがヘンなのか、解説します。 まずは、トロッコ問題をご存じないかたのために説明を。手書きのきたない絵ですいません。ブレーキが壊れたトロッコが暴走し、こちらに向かってきます。線路の先には5人の作業員がいて、このままだと轢かれて死にます。あなたが手動でポイントを切り替えればトロッコの進路を変えられますが、そち

  • 大学のニーズ?反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。生きて動いている姿を見たひとがいないのでUMAではないかと疑われていた加計学園の理事長が、ついにその姿をあらわしました。なんかヘンなコスプレみたいだったけど。 加計学園の獣医学部に受験者が殺到したことで、先日の会見で菅官房長官が、高いニーズがあったと、大学の開校に正当性があったことをわざとらしく強調してました。 大学のニーズというけど、だれのためのニーズなのですか? たとえば加計学園の薬学部は、薬剤師の国家試験合格率が全国の薬学部のなかで最低レベルです。上位の大学では卒業生の70パーセント以上が薬剤師の資格を得てますが、加計学園は30パーセント台だと、昨年、経済誌の薬剤師特集記事が報じてました。受験者の3割しか受からないのではなく、大半の学生が、国家試験を受験すらしてないのです。そのレベルまで学力が達してないってこと。 薬剤師を求める社会的ニーズに応

  • 役立つけれど難しいクリティカルシンキング反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。昨年末から私用でバタバタしてまして、あまりブログを更新できません。だいぶ経ってしまいましたが、年末にネットで興味深い翻訳記事を読みました。 なぜ頭のいい人でも愚かな行動を取ってしまうのか http://gigazine.net/news/20171230-intelligence-critical-thinking/ 記事の執筆者であるアメリカの心理学者は、その理由をクリティカルな考えかた(クリティカルシンキング、批判的思考)ができないからだとしています。 私もその説におおいに賛同しますので、クリティカルシンキングについて、私なりの考えをまとめておきます。 勉強ができることとアタマがいいことは別だよと、むかしからよくいわれます。全般的な傾向でいえば、勉強ができる人はアタマがいい場合が多いのですが、なかには一流大学卒で学者や評論家の肩書きがあるのに、矛

  • Web春秋の連載第8回が更新されました反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。カズレーザーさんは学生時代から私のをチェックしてくれてるそうです。やっぱり勢いのある人はを選ぶセンスもいいですね。きっと宇治原さんは、私のを読んでないんじゃないかなぁ…… さて、今月もWeb春秋の連載『会社苦いかしょっぱいか』が更新されました。 今月のテーマは都会の会社員とは切っても切れない通勤電車。鉄道にまったく興味がない私ですが、今回いろいろ調べたおかげで、むかしの鉄道文化にちょっと詳しくなりました。 あ、そういえば先日、電車で化粧する女性は大正時代からいたとツイートしたところ、多くの反響がありました。そのなかに、大正時代に電車に乗るのは一部の上流階級だけだったのだろう、なんて意見がありましたけど、そんなことはないですよ。大正時代には、電車や市電が庶民の足として欠かせないものになってました。 そして、現在電車でのマナー違反とされる行為はほぼ

  • 道徳教育終了の危機を、現場の先生はどう見ますか反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 トランプさんが次期大統領に選ばれたことで、TPPと道徳教育に終了の鐘が鳴り響いています。 これまで学校の道徳教育では、「ウソをつくな」「他人の悪口をいうな」「差別やいじめをするな」「異性を侮辱するな」と教えてきました。ところが、それに反することを公然とやってきた人が、アメリカという超大国の最高権力者に選ばれてしまったのです。 不道徳なことをやりたい放題やっても叱られるどころか、大統領になれちゃうのなら、もはや道徳教育は意味をなしません。 さて、学校現場で道徳の授業をやっている先生がたに、ぜひうかがってみたいものです。この道徳の危機的状況を、こどもたちにはどう教えます? 「当はトランプさんはいいひとなんだよ! さあ、みんなでトランプさんのケツをなめよう!」とでも? そんな絶妙だか微妙だかわからんタイミングで発売された私の最新刊が、道徳教育質をえ

  • 今年よかった本反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 今年も年末、まとめの季節になりました。今年一番よかったは、だれもいってくれそうにないから自分でいっときますけど、『「昔はよかった」病』だったのではないかと自負しております。 歴史にはいい面も悪い面もあって、それを両方知ることが正しい歴史認識へとつながる唯一の道です。でも少なからぬ人たちは、自分がこうあってほしいと思うきれいごとだけを信じて、気にくわない歴史は否定、もしくは無視してしまいます。 歴史の事実を直視できないのは弱さです。事実を無視して過去を美化するのは卑怯です。被害者意識だけを強調するのは甘えです。 日が好きだから悪い点は指摘しないってのもおかしな考えですね。それだと、こどもが好きだから叱りません、としつけを放棄するダメ親と同じじゃないですか。 先祖や先人を悪くいうなと怒るのは、もっとも愚かな態度です。いい悪いの問題じゃありません。重

  • 騒音問題はなぜこじれるのか反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 隣家の犬の鳴き声がうるさいと、犬をバットで滅多打ちした事件が起きました。 犬にとっては災難です。ヒドい話です。でも私は、飼い主にはまったく同情しません。なぜなら、飼い主は騒音問題の加害者である可能性が高いからです。 犬の鳴き声騒音については、2012年に出版した『怒る!日文化論』ですでに取りあげたので、詳細はそちらを読んでいただきたいのですが、その際いろいろ調べてわかったのは、犬の鳴き声騒音問題では、ほぼ百パーセント、飼い主に原因と責任があるということです。 しあわせな犬は吠えません。適切なしつけをしてあり、かつ、飼育環境に問題のない場合、犬はむやみに吠えません。犬が吠えるのはストレスを感じているからです。つまり犬が毎日のように吠えたり鳴いたりするのは、飼い主が犬を不幸にしている証拠なのです。 なにかトラブルが起きるたびに聞こえてくる空虚な言葉。

  • 素直に笑えない話反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 先日、『なぜ人類のIQは上がり続けているのか?』(ジェームズ.R.フリン著)というを読みました。薄いし文章もわりと平易なのですが、内容はけっこう専門的です。結論よりも検証過程を詳しく記すことに重きを置いてるので、読みものとして一般のかたにおすすめできる感じのではないです。どちらかというと専門の研究者が読んだほうが参考になるのかもしれません。 私はかなり飛ばし読みしちゃいましたけど、有益な情報をいくつか拾えました。そのなかのひとつ、抽象的な仮定を伴う思考はけっこう高度なものであり、教育を受けることでできるようになるという指摘。ろくに教育を受けてなかったむかしの人には、そういう思考は難しかったらしい。 1920年代のロシアで一般市民に行われた聞き取り調査の例。 「ドイツにラクダはいない。B市はドイツの都市である。では、B市にラクダはいるか、いないか

  • 老後破産と「昔はよかった」病反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 週刊新潮10月1日号の老後破産についての記事を読みました。冒頭で私の『「昔はよかった」病』を引き合いに出してます。(この記事は「矢来町ぐるり」という新潮社のサイトにも転載されてるのでネットでも読めます。) 『「昔はよかった」病』で私は、むかしはよかったという老人の嘆きが歴史的事実とはかなり異なる記憶の捏造であることを検証し、むかしもいまも変わらない、どちらかというとむかしのほうがヒドかったと結論を出しました。 ところが多くの日人はこの事実を信じたがらない。どうやら新潮の記事の筆者もその口らしく、パオロはああいってるけど、ちかごろ話題になっている老後破産の現実はどうだ。「誰がどう見ても、「昔はよかった」と言うほかない」とおっしゃる。 で、その反証例としてあげてるのが、タレントの天地真理さんと漫画家の柳沢きみおさんなのですが、記事を読んだかぎりでは、

  • 地域の絆と犯罪の話 完結編反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 あんまり同じ話ばかり続けても飽きるので、今回で地域の絆と犯罪の件についてはひと区切りとします。 私がくびを長~くして待ちわびているのに、いまだに、地域の絆が薄れると犯罪が増えるという仮説を立証した人がひとりも現れません。 地域の絆で犯罪を防ごう、と旗を振ってる人は何万、何十万人もいるのに、ですよ。自分たちがぶち上げた仮説をだれひとりとして立証できないくせに、私が実例をあげて矛盾を指摘すると、ヘリクツで反論してくるんだから、ずっちいなあ。 「割れ窓理論の活動によってニューヨークの犯罪は激減した」って話も都市伝説だったことが、アメリカの社会学者によってすでに暴かれてます。さて、どうやって地域の絆と犯罪の関連性を立証するつもりなのでしょうか。 立証するには、まずは、地域の絆という見えないものの強弱を数値化するところからはじめなければいけません。どうやって

  • ビートルズなんて聴いてなかった日本の若者反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。ポール・マッカートニーさんがまた来日されたとかで。そのたびにニュースでは、ビートルズが初来日したときの若者たちの熱狂ぶりが記録された資料映像を流すのですが、じつは60年代のほとんどの日の若者は、ビートルズなんて聴いてなかったそうです。ビートルズブームは、あとからかなり誇張されて伝えられているのです。 このことは以前、小熊英二さんの『1968』を読んで知りました。当時中高生だった渋谷陽一さんなどの音楽評論家は口を揃えていってます。そのころビートルズを聴いてた若者はクラスに一人いるかいないかってくらいで、ほとんどの若者は橋幸夫や舟木一夫を聴き、オトナたちと同様にビートルズを否定していたそうです。熱狂してたのはごく一握りの若者だけでした。 ビートルズのレコードが売れるようになったのは70年代にベスト盤が出てからのことで、それ以前はあんまり売れないものだか

    morobitokozou
    morobitokozou 2015/04/21
    なかったと断言するなら女性の証言も集めないと。叔母がジョージのでかいパネルを部屋に飾ってた。
  • 少年凶悪犯罪についての追加情報と前向きな提案反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 忘れたころに少年凶悪犯罪が起きては、また根拠もなく少年凶悪犯罪の増加を叫ぶ人が出てくるって毎度毎度の展開には困ったもんです。 で、そのたびに私の『反社会学講座』が反論材料として言及されて新たな読者を獲得できるってのは、ありがたいと感謝すべきなのか、同じ議論を蒸し返し続ける日人の学習能力のなさを嘆くべきなのか。 私は『反社会学講座』で、昭和18年前後に生まれた世代(現在70代前半)がもっとも凶悪だったと、統計から導かれるひとつの事実を示しました。 そのへんのことをもっと詳しく学問的に検証してる論文をみつけていたのですが、ずっと紹介しそびれてました。この機会に紹介しておきます。 中尾暢見さんの「激増する高齢者犯罪」(『専修人間科学論集』2014年3月)。この論文では、1940年から46年生まれをひとつのコーホート(世代)として追跡しています。彼らが少

  • 映画『小さいおうち』は必見です反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 映画『小さいおうち』が地上波で放送されるので、まだ観てないかたはぜひご覧になることをおすすめします。 私がいまさらおすすめするまでもなく高評価を得ている作品ですが、先日WOWOWで観て、女中のイメージなど近現代庶民文化史をきちんと押さえてある上に、ドラマとしても秀逸なことにいたく感心しました。 戦前・戦中の暗かったとされる時代でも、不倫をする人もいたし、カネとコネがあれば贅沢もできたんです。その当たり前の事実が忘れられてしまってます。この映画は過去の人間を美化したり漂白したりせず、清濁合わせ持つ生身の人間として描いてるのでフィクションながらリアリティがあります。 現代の大学生が祖母の話を聞きながら過去を振り返るという構成によって、現代人が持つ戦前イメージと、現実にその時代を生きた人の意識の差を際立たせることにも成功してますし。 現代の若者が過去を探

  • 不愉快な日々 - 反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 ここんところ、なんとも不愉快な日々が続きました。結果的に人質事件は残念な結果に終わってしまったようですが、それに匹敵するくらい後味が悪いのは、バッシングのほうでした。人質ふたりに対するバッシングのひどさは想像以上で、日人はどんだけ日人が嫌いなのかと、海外の人たちも呆れる始末。 毎度おなじみの自己責任論は出るだろうなと思ってましたけど、もっとヒドかった。日に迷惑かけたんだから自害しろだの、あれは韓国人だというデマを流しておとしめようとしたり、正気とは思えぬ発言の数々。でまた、そういう意見をいってるのが無名・匿名の一般人だけじゃないんですよね。そこそこ名のある人やテレビに出てるような人までがツイッターで堂々と発言してるってのがね。しかも10代20代の若者じゃない、いい歳こいたおっさん、オバサンなんですよ。やっぱり問題はゆとり教育じゃなかったんだな

  • 「むかしはよかったね?」連載最終回記念 朝日と読売の印象反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 約一年間にわたって『新潮45』で連載してきた「むかしはよかったね?」ですが、現在発売中の最新号の掲載分をもちまして最終回となりました。 なお、この連載は書籍化される予定です。雑誌連載を読んだかたも読まなかったかたも、お楽しみに。詳細は決まり次第、ブログとツイッターで告知します。 最終回は「注文の多いブラック商店街」。いまやふれあいと人情味をウリにしている商店街ですが、そのむかしはけっこうエグいこともやってました。今回も過去の史料をひもといて、商店街の意外なルーツや黒歴史など、埋もれた歴史を掘り起こします。 好評発売中の『誰も調べなかった日文化史』以来、連載や単行執筆のために、明治から平成までの朝日新聞と読売新聞を読みまくってます。 日の新聞で、明治時代から現在まで発行され続けていて、しかもすべての記事を検索できるのは、この2紙だけ。貴重な現代

  • 犯罪不安を煽るのは、どのメディアか 反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 前回のブログ記事「都合よくデータを切り取って人々を不安に陥れよう!」の補足情報。 主要な新聞を確認してみたところ、興味深い事実が判明しました。 たまたまこどもの誘拐事件の件数が少なかった平成20年と比較するトリックで、誘拐が増加していると不安をおおげさに煽る報道をしていたのは産経と読売でした。 朝日は、平成16年の141件から減少傾向と、データをきちんと見て冷静に事実を報じてます。早くも誤報反省の効果が出たのかな? 今回、もっとも称賛したいのは毎日です。誘拐の件数が減少しているというだけでなく、さらに数字の背景まで踏み込んで調べていたのです。 平成16年に摘発された100人の誘拐容疑者の7割は、被害者であるこどもと面識のない他人でした。しかし平成25年の摘発者75人のうち他人は31人。半数以上は、離婚した親など、こどもの親族・知り合いだったことまで

  • リスクについてのおすすめ本反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 ひさびさにおすすめをご紹介。ダン・ガードナーさんの『リスクにあなたは騙される』がハヤカワ文庫になって発売されました。 5年前に単行で出てたんですね。もっと早く読むべきでした。文庫の帯に池田信夫氏絶賛! の文字が見えることに若干の不安をおぼえますが、の中身は素晴らしいので心配ご無用。池田さんは、学んだことをご自分の発言や執筆に活かせない不思議な人なんです。 私は『新潮45』の連載「むかしはよかったね?」で、日の社会は現在、歴史上もっとも安全で犯罪が少ない幸福な社会になってるのに、根拠のない不安におびえてる人が多すぎる、と書きました。そのことを過去の事例や報道、統計で示しても、よのなかはどんどん悪くなっている、犯罪は増えているという誤解はなくなりません。 てっきり、そういうのは日だけの現象、日人の神経質な気性によるものなのだろうと思ってたの

  • むかしはよかったね? 今回のテーマはテンション反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 毎度おなじみ、好評連載中の「むかしはよかったね?」が掲載されている『新潮45』最新号が発売中です。 今回は「ハイテンションな元気をもらいました!」ということで、「テンション」と「元気」の意外な文化史をひもといてみました。 テンションって英語は「緊張」を意味するのに、なぜか日のみなさんは「元気」と誤解しています。いつからそういう誤解が生じ、それが定着してしまったのか、ナゾはすっかり解けました。 ついでに、元気をもらう、元気をあげるという不思議な表現も考察しています。むかしは、元気になれ、元気を出せと他人を励まして、相手が自発的に元気になることを願うのが普通でした。 なのに最近では、元気をあげる、元気をもらう、と、いつのまにか元気は、贈与可能な物質に変化したようです。 そもそもなんで元気にはしゃぐことを強要されねばならないのか? 静かに暮らしたい人だ

  • 銀ブラに関するガセネタが広まっています反社会学講座ブログ

    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 先日、朝ドラ『花子とアン』の劇中で、「銀ブラ」という言葉は、銀座をぶらつくことでなく、銀座でブラジルコーヒーを飲むことだという俗説を紹介してました。 すぐ真に受けた人がたくさんいるようですが、これ、まったくのデタラメですからね。銀ブラは、銀座をぶらつくこと、ぶらぶらすることの略なんです。こちらが正解。 これはいいネタになるかなと思って調べたら、なんだ、すでに星田宏司さんと岡秀徳さんが『「銀ブラ」の語源を正す』というで完全に検証済みだったんですね。読んでみると、ブラジル説を否定するほぼすべての証拠史料が網羅されてます。 ブラジルコーヒー説の発信源まで突き止めているのですから、もう、これに反論することは不可能でしょう。 ブラジルコーヒー説は、2008年に出版された『日で最初の喫茶店「ブラジル移民の父」がはじめたカフェーパウリスタ物語』というのな