とある社長が海外に楽器ケースに入って逃亡してからというもの、不思議なことがいろいろ起きた。まず件の社長、無事亡国の土を踏んで、翌朝に歯を磨いたとき、歯ブラシでこすられた自分の前歯が、澄んだ高貴な音色を発したのに気がついた。そう、楽器になっていたのだ。
わたしも市販薬の飲みすぎで錯乱したとき「東京と名古屋が一体化して押し入れの中に妹の生霊がいること」が「わかった」ことがあって、本当にせん妄状態になった時って幻覚とか妄想とかじゃなくて「わかって」しまうので、もう理性とかで抵抗できないんですよ。狂気に理性で抵抗できるというのは物語
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