オシム語録の真意 本書中にはこのようなやりとりがあります。オシム監督の真意が垣間見える箇所です。 ” ─あなたは、ご自分が紡ぎ出す言葉が、語録と称されて注目を浴びていることをどうお考えになっているのか。 しばしの沈黙の後、彼は言った。 「私は別にテレビやファン向けに言葉を発しているわけではない。私から言葉が自然に出てくるだけだ。しかし、実は発言に気をつけていることがある。今の世の中、真実そのものを言うことは往々にして危険だ。サッカーも政治も日常生活も、世の真実には辛いことが多すぎる。だから真実に近いこと、大体真実であろうと思われることを言うようにしているのだ」 ─あの会見の言葉も? じっとこちらを見つめて口を開いた。ミステリアスな監督が、ようやく漏らした本音だった。 「言葉は極めて重要だ。そして銃器のように危険でもある。私は記者を観察している。このメディアは正しい質問をしているのか。ジェフ