東日本大震災による福島第1原発事故から10年。先進諸国では原発の利用が縮小を続けている。しかし気候変動対策は急務であり、脱炭素化のために原発は欠かせない。中国とロシアは輸出を続ける。福島の事故が残した教訓は、原子力発電を避けることではなく、賢く利用せよということだ。 日本で最も人口の多い島、本州北部の太平洋岸が津波で壊滅的な被害を受けた震災から10年がたった。この津波は、この地域の記録に残る過去最大の海底地震が引き起こしたものだ。この地震と津波は2万人近い住民の命を奪った。10万戸以上の家屋を全壊させ、数千万人の暮らしを先の見えない混乱の中に投げ込んだ。 直接的な経済損失は2000億ドルを超えるとみられる。自然災害がもたらした経済損失としては世界でも過去に例を見ない額だ。 だが、世界の多くの人々がこの災害を記憶しているのはその規模ゆえではない。ただ1つの出来事、すなわち地震後に福島第1原子