太平洋戦争中、海軍鹿屋航空基地が置かれた鹿児島県鹿屋市にある菓子店「 富久屋 ( ふくや ) 」が、特攻隊員向けに作っていた「タルト」と呼ばれる菓子を再現した。 貴重だった砂糖を使い、出撃前の隊員に渡されていたという。毎年、追悼行事を営む 女将 ( おかみ ) の北村馨さん(77)は、「国や家族を思って亡くなった若者たちを思い出し、平和の尊さを考えるきっかけになれば」と話している。 富久屋は1860年頃に創業した老舗。海軍から支給された砂糖などを原料に菓子を作って基地に納めており、「海軍御用達 若松菓子店」の看板を掲げていた。 店に遊びに来る隊員も多く、幼かった北村さんを妹のようにかわいがってくれた。親しい隊員の出撃日には、屋根の上から空を見上げた。別れを告げるように低空飛行で旋回し、白いマフラーをなびかせる姿を今も覚えているという。 昨秋に親族が集まった際、隊員が機内で食べるための菓子を