2014年05月06日14:47 カテゴリ本 唯物史観の原像 保守派の理論的支柱であるEconomist誌が、毎週のように(ピケティに関連して)マルクスの記事を書いているのをみると、時代が一めぐりして彼が普通の古典として読まれる時代が来たような気がする。今では誰もが「終わった思想家」と思っているだろうが、実はほとんど理解されてもいない。 「マルクスの入門書としていいのは何ですか?」とよく聞かれるが、残念ながら現役の本にはない。池上彰氏のようにありきたりな「格差社会論」にしてしまうのも感心しないし、橋爪大三郎氏の本はマルクスのテキストをろくに読んでもいない。他方でマルクス文献学者の本は精密に読んでいるだけで、何も現代性がない。 本書は絶版で、アマゾンでは12600円という値段がついているが、いまだにマルクスの解説書としては最高傑作だと思う。入門書としてはむずかしすぎるが、38歳の廣松渉の文体