いつの間にか2年が経過していて、住んでいるマンションの契約更新を迎えた。 この街に住むことを決めた時の私の精神状態は頗る最悪で、 「とても一人では生きていける気がしない、ペット可の物件を教えてくれ」 と物件探しのプロに泣きついたことを覚えている。 「なにを飼うつもりなんですか」 と尋ねられたものの、特に具体的なプランも決まっていなかったので、 「生きていれば何でも」 と言った気がする。 この言葉だけを聞くと、無差別殺人事件を起こした犯人の犯行理由と大差ない気もするし、 紙一重とはこういう状態を指すのかもしれない。 確実に言えることは、その時の私にとって、ペットとはさながらアッラーのようなものだった。 プロは、 「このまま飼わないかもしれないので、飼う時に敷金などを追加で払うタイプの物件がいいですね」 とのたまっていた。 私も異論なかったため、同意した。 この決断は間違いなく正しくて、結局2