国立新美術館(東京都港区)は3月8日(水)から6月5日(月)まで「ミュシャ展」を開催します。アール・ヌーヴォーを代表する芸術家であるアルフォンス・ミュシャが、晩年の17年間を捧げた超大作「スラヴ叙事詩」全20点を、チェコ国外で初めて展示。同時に、ミュシャが同作を描くまでの足跡を約100点の作品でたどります。 ▽ ミュシャ展 1860年にオーストリア領モラヴィア(現チェコ)で生まれたミュシャは、34歳の時に手掛けた舞台「ジスモンダ」のポスターで一躍注目を集め、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家の一人として知られるようになりました。女性や植物などのモチーフを美しい曲線で描いた独自の作風で、今なお多くの人々を魅了し続けています。 ミュシャは華やかなポスターや装飾パネルのデザインを手掛ける一方で、故郷・チェコや自身のルーツであるスラヴ民族のアイデンティティーをテーマにした作品を描き続けました。同展
March 2, 2017 | Art, Architecture, Travel | casabrutus.com | photo_Junpei Kato text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano 1年近くに及ぶ改修工事を終えて、静岡県・熱海市の〈MOA美術館〉がオープンしました。設計は新素材研究所(杉本博司+榊田倫之)。彼らの手で生まれ変わった展示空間は、美術館建築の新しいスタンダードとも言えるものでした。 国宝・尾形光琳《紅白梅図屏風》江戸時代(18世紀)。装飾的な水流の左右に紅白の梅の木を描く。たらし込みなどの技法を駆使した、リズム感ある画面が特徴だ。近年の研究で地には金箔が使われていることがあらためて判明した。
灰で韓紙に描くモノクロームの風景 李鎮雨が銀座で日本初個展3月4日より、韓国出身でパリを拠点に活動する李鎮雨の個展「森の奥で」が、東京画廊+BTAP (東京・銀座)で開催される。 李鎮雨 無題 2016-17 韓紙に炭 61x101cm Courtesy of the artist and Tokyo Gallery+BTAP 1959年、韓国・ソウルに生まれた李鎮雨(り・じんう)は、83年に世宗大学(韓国)を卒業後、86年に渡仏。パリ国立高等美術大学を卒業したのち、現在はパリを拠点に活動している。 李は、パリ留学中に偶然目撃したイタリアのストロンボーリ島の火山の噴火に衝撃を受けて以来、持ち帰った火山の灰を自身の作品のモチーフとしてきた。作品制作では、炭を撒いた上に韓紙を乗せ、鉄のブラシで叩く作業を何層にもわたって繰り返すことで、特有の質感を有するモノクロームの画面をつくり出している。ゆえ
城戸保の名古屋港を映した 最新シリーズを東京で初公開3月4日より、写真作品を手がける城戸保の個展「風景画/舟を釣る」が、ハギワラプロジェクツ(東京・初台)で開催される。 城戸保 踊る数字(「舟を釣る」シリーズより) 2016 29.4x44.4cm C-プリント 1974年三重県生まれの城戸保は、愛知県立芸術大学で油画科を卒業。独学で写真に取り組み、以降、名古屋を拠点に制作を続けている。これまで光と色彩のあり方を考察し、独特な構図で日常に潜む美しさを映し出した写真作品を数多く手がけてきた。 近年は、都市郊外で見かける、放置された車やペンキが剥げた物置といった人工物と、花々やや蘇鉄などの自然物が混在する景観に着目し、光がもたらす情景を撮影した作品を発表している。主な展覧会に「アッセンブリッジ・ナゴヤ」(2016、愛知)、「芸術は森から始まる |愛知県立美術大学創立50周年記念事業、愛知県立芸
連載目次 福島県の帰還困難区域で開催中の“見に行くことができない展覧会”=「Don’t Follow the Wind」 が始まって、もうじき2年が経過しようとしている(2015年3月11日から開始)。会場は全域にわたって依然、東京電力福島第一原発から放出された放射性物質による汚染で被曝線量が高く、帰還困難区域はバリケードによって封鎖され、厳重に立ち入りを管理されたままだ。その間、トリエンナーレ形式を始めとするいくつもの華やかな国際美術展、国際芸術祭が国内で開催され、閉幕していった。しかし、この展覧会はまだ始まったばかりだ。そして、昼夜を問わずたった今も展示は継続されている。この状態がいつまで続くのかについては、実のところ誰にもわからない。与党(自公)の復興加速化本部は東京五輪後の2021年をめどに帰還困難区域の一部で避難指示を解除する提言をしているから、もしかしたら会場の一部がまだら状に
草間彌生のすべてがここにある。「草間彌生 わが永遠の魂」88歳の誕生日を約1か月後に控えた2月21日、国立新美術館で草間彌生の過去最大規模の個展「草間彌生 わが永遠の魂」の内覧会・開会式が草間彌生出席のもと行われた。世界初公開を含む約270点で草間彌生のこれまでと現在を紹介する本展。その見どころとは? 草間彌生 70年間の創作を通覧 草間彌生にとって過最大規模の個展となる本展は、「21世紀の草間彌生(1)」「初期作品」「ニューヨーク時代 1953-73」「21世紀の草間彌生(2)」「帰国後の作品 1970-2000」の5部で成り立っており、回顧展と近作・新作展があわさったような構成となっている。 会場に入り、まず目に飛び込んでくるのが、草間が2009年から取り組んでいる大型の絵画シリーズ「わが永遠の魂」だ。その展示数はなんと132点。これは、初期にはF100号(162×130.3cm)やS
旺盛な制作を続ける前衛芸術家・草間彌生さん(87)の最大級の個展「草間彌生 わが永遠の魂」が22日、東京・六本木の国立新美術館で始まる。草間さんは開幕を前に、アイドルグループ「嵐」のリーダー大野智(さとし)さん(36)と作品や個展について語り合った。大野さんは絵画や立体の制作も手がけ、数年前から草間さんとも親交がある。 草間 お元気そうね。 大野 お会いするのは1年ぶり以上かなあ。 草間 うんと活躍して、あなた忙しいでしょ。 大野 昨年はいろいろと仕事があって、本当に絵が描けませんでした。 草間 私みたいね。私も毎日毎日、お客さんが来るから。外国からの取材も多いのね。だからご飯を抜いて描いてることもある。 大野 食べないと。 草間 絵を描く方が大事なの。どんどん手が先に動くでしょ。チョコレートとか、おせんべいとかをご飯の代わりにして。 大野 だいたい何時ぐらいに起きているんですか。 草間
大原美術館によるアーティスト・イン・レジデンス・プログラム「ARKO2017」の招へい作家が水野里奈に決定した。 水野は1989年愛知県生まれ。2014年多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。中東の細密画の装飾や伊藤若冲の水墨画の筆触を取り入れ、様々なレイヤーが重なる絵画を制作している。一昨年の「VOCA展2015」では奨励賞を受賞。そのほか「あいちトリエンナーレ2013」への参加や「アートアワードトーキョー丸の内2014」での三菱地所賞受賞など、様々な活躍を見せる。 ARKO(Artist in Residence Kurashiki, Ohara)は「若手作家の支援」「大原美術館の礎を築いた洋画家児島虎次郎の旧アトリエ:無為村荘の活用」「倉敷からの発信」の3点をコンセプトとして実施されており、招へい作家は児島虎次郎の遺したアトリエで3カ月間の滞在制作を行うことができる。2016年は
熱海の坂の上に建つMOA美術館。温泉に行くついでにちょっと寄る美術館、というイメージを持っている人もいるかもしれないけれど、尾形光琳『紅白梅図屏風』をはじめ国宝3点、数十点の重要文化財をはじめ、何千点ものお宝を所有する大美術館なのです。 MOA美術館 - Wikipedia 自分もだいぶ前に一度訪れて、 こんなにすばらしいものがたくさんあるのか!と驚愕したことがあります。そして標高260mの場所にあるので、熱海の海を見下ろす眺めもすばらしい(そのぶん、自転車で行くのが大変だった…) このMOA美術館、開館から30年以上が経過したため、昨年の梅の季節を最後に休館に入り、この2月5日、梅の季節を迎えてリニューアルオープンすることになった。リニューアルにあたっては杉本博司が全面的に関わって、展示空間をやり直すことのなったと。 杉本博司…と聞くと、一抹の不安が漂うのです。だって、ほら、写真美術館リ
六本木の新国立美術館、つい最近できたばかりと思っていたら何と開館10周年なんですね。開館10周年を記念して展示されたインスタレーション「数字の森」を見てきました。おおお、綺麗だ~!!! 天井から6万点の数字がぶら下げられているという作品です。設営、大変だったろうなあ……w 作品を手がけたのは、フランスのエマニュエル・ムホー氏。45歳の女性建築家・デザイナーで、色を三次元で見せる作品作りを続けており、「ABC Cooking Studio」のデザインも彼女が手がけているものだそう。言われてみれば色使いが似てる。 ここの展示で写真撮影OKって珍しいよね。みんな熱心に写真を撮っていました。しかも入場無料で、なんだか申し訳ないくらい。とってもたのしかったですよ。 ぼんやり数字を眺めてただけで終わっちゃったけど、実は「隠れてる女の子とネコを探す」というお楽しみもあったみたいですね。気付かなかった~!
本当はもう少し早く出かけたかったのだけど、会期が1/7まで延びたそうで、それなら人の空いてそうな年始に行こうかな。と、そんなわけで年明け早々に横浜へ出かけてきました。 瀬戸内海の犬島で展示された「イカロス・セル」をはじめ、代表作「アント・ファーム・プロジェクト」シリーズや、それに新作を交えた展示。午前のうちだったのでまだ人も少なくて、3階まであるフロアでゆっくり鑑賞できました。 白地に赤の立体回転機?の中を走る戦車(ネズミのキャラクターのマークがデザインされている)の図案は、「ワンダリング・ポジションってそういう」って思ってしまう出迎えでしたが、まだまだ展示は手始め。 プロジェクト・アーティクル9 2階フロアには、世界中の国旗を砂絵で描き、その中にアリを巡らせることで国旗のかたちを崩していく「ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム」。あるいは国旗がたんなる表象のものに過ぎないことを示唆す
2017年に在京の主要新聞社が主催する展覧会を以下にリストアップした。掲載は朝日新聞社、産経新聞社、日本経済新聞社、毎日新聞社、読売新聞社(50音順)。展覧会名、会期など変更の場合あり。詳細は各展覧会公式HPまたは新聞社HPまで。
2017年はこれをチェック! 5つの注目展覧会いよいよ2017年の幕が開けた。昨年は東京都美術館で開催された「若冲展」が大きな話題をさらったが、今年も各美術館では注目の展覧会が目白押しだ。そのなかから編集部がセレクトした、特に注目したい展覧会を会期順で5つご紹介する。 全世界で150万人を動員した巨大展覧会がついに日本上陸 「DAVID BOWIE is」(寺田倉庫)「ショウ・モーメント」の展示風景 ©Eikon / G.Perticoni2016年は多くのミュージシャンがこの世を去ったが、デヴィッド・ボウイもその一人だ。「20 世紀で最も影響力のあるアーティスト」、デヴィッド・ボウイ。2017年は、その生涯を回顧する展覧会が、日本にやってくる。寺田倉庫の特設会場で開催される「DAVID BOWIE is」は、2013年に英国・ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(以下V&A)
今年も、毎年恒例、自分が見た中での展覧会ベスト10を記録しておく時期になりました。毎年書いてますが、あくまでも自分が見た中でのベストなので、注目度が高くても見逃したものは多いし、もし見ていたらベストに選んだかもしれないものも多いです。その点、あらかじめご承知おき願います。 おもな見ていないものとしては、国芳国貞、美の祝典、ゴッホとゴーギャン、ダリ、モランディ、チンポム、三宅一生、土木展、岩佐又兵衛、大妖怪展、高島野十郎、吉田博、速水御舟、茨城県北、瀬戸内…あたりでしょうか。 全体的に、この1点が、とか、全体的に作品が粒ゾロイで、というよりも、展覧会の企画自体が気に入ったり、自分の中でこころ動かされるものがあって、選んだ展覧会が多いように思います。作品そのもので評価すると、禅展とか、ルノワール展とか、若冲展とか、ポンピドゥーセンター展とかが、もっと上位に来ますね。 1.横浜美術館『村上隆のス
2016年展覧会ベスト3 (『美術手帖』編集長・岩渕貞哉)数多く開催された2016年の展覧会のなかから、有識者にそれぞれもっとも印象に残った、あるいは重要だと思う展覧会を3つ選んでもらうこの企画。最後に特別版として、『美術手帖』編集長・岩渕貞哉編をお届けする。 飴屋法水「何処からの手紙」 (「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」、2016年9月17日~11月20日)地域の郵便局にハガキを出すと案内が返送される「茨城県北芸術祭」の出品作の一つ。なのだが、飴屋法水の用意した物語を案内に地域を訪ねて、人や風景、ものといった他者に遭遇していく「巡礼」の空間的・時間的な体験の深さは、芸術祭本体を凌駕しかねない射程を孕んでいた。「何処からの手紙」に導かれた観客は、否応なく彼の地と自身の生を関係させられてしまう。来年以降も増える芸術祭のあり方の極北として、今後、参照点となるだろう作品。 生
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