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言わずと知れたポール・クルーグマンの新刊である。 主張はいたってシンプルなものだ。いわく、不況のときに緊縮財政するな。政府は財政赤字なんか気にせずに拡張的な雇用創出政策をやれ。中央銀行はそれを支援しろ――これだけ。 で、この主張を補強するために、金融危機の前史から経緯をふりかえり、アメリカ、ユーロ圏、イギリスなどの現状を概観し、流動性の罠に関する不況の経済学をわかりやすく解説し、清算主義を批判する。とりわけ不況を「道徳劇」として見る発想をくりかえし批判している。 おおよその内容は「道草」で翻訳されているコラムとかぶるものが多いので、ぶっちゃけ新味のある話はない。しかし、こうしてまとまったかたちで読めるのはよいことだろう。とくに私のような紙の本フェチには、じつにじつにありがたい。 どうでもいいことだけれども、一部で議論を呼びそうだなと思ったのは、次のくだり(p.143)。 フリードマンの取っ
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