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ブックマーク / bijutsutecho.com (11)

  • 論考:観ることのできない歴史的資料をめぐって──戦争体験者証言映像と東京都平和記念館(仮)計画から考える

    論考:観ることのできない歴史的資料をめぐって──戦争体験者証言映像と東京都平和記念館(仮)計画から考える今年3月、東京都が保管する戦争体験者の証言ビデオが、20年以上にわたって活用されず封印状態にあることが報道された。戦争の資料をどう公開し、伝えていくべきなのか。資料や人々との対話をもとに、戦争や災害の歴史と記憶に向き合い作品を発表してきたアーティスト・藤井光による寄稿。 文=藤井光 米軍の爆撃を受けた東京 1945 © 米国国立公文書館(NARA) 閉ざされたG空間 戦争体験者たち330人の証言映像がある。1990年代、戦後50年を経て、東京都が東京大空襲の惨禍を体験者自らが語り、後世に体験を継承していくために製作した。都が社団法人東京都映画協会に業務委託し、映画監督の渋谷昶子(1932〜2016)らが制作を担当している。 ひとつの爆撃をめぐるこの規模の証言映像は世界的にも貴重だが、現在

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  • 排除アートと過防備都市の誕生。不寛容をめぐるアートとデザイン

    排除アートと過防備都市の誕生。不寛容をめぐるアートとデザインオリンピックに向けて東京の各所で再開発が進行した10年代。街には公共的で開かれるように、多くのベンチやパブリック・アートと思わしき造形物が登場した。しかしながら、それらの存在は、特定の人々の排除のために作用する「過防備」の一旦を担っているとも言える。これらを「排除アート」としての視点から研究する建築史家の五十嵐太郎が、都市機能としての不寛容さを指摘する。 文=五十嵐太郎(東北大学大学院・教授) 京王井の頭線渋谷駅前のオブジェ 近年、排除アートが増えているというニュースが散見される。路上、あるいは公共空間において、特定の機能を持たない、作品らしきものが、その場所を占拠することによって、ホームレスが滞在できないようにするものだ。もっとも、こうした現象は最近始まったわけではない。16年前、すでに筆者は『過防備都市』(中公新書ラクレ、20

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  • 「クライン・ブルー」で家の壁が塗れる。フランスの塗料会社による「Yves Klein®」コレクションをチェック

    「クライン・ブルー」で家の壁が塗れる。フランスの塗料会社による「Yves Klein®」コレクションをチェックフランス現代美術を代表する作家、イヴ・クライン。そのクラインが開発した「インターナショナル・クライン・ブルー」(IKB)と呼ばれる青色の塗料が、フランスの塗料会社「Ressource(ルスルス)」によって販売されている。1リットル100ドル。 フランス現代美術を代表するアーティストで、「インターナショナル・クライン・ブルー」(IKB)を発明したイヴ・クライン(1928〜62)。そのクラインの生誕90年を記念し、フランスの高級塗料会社「Ressource(ルスルス)」が、IKBに触発された「Yves Klein®」塗料コレクションを発表した。 このコレクションは、下地1リットルを含む1セットが100ドルで販売されており、在庫があればオンラインショップからも購入可能だ。 IKBとは、ク

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  • メトロポリタン美術館が #あつまれどうぶつの森 に参戦。40万点の作品画像が使い放題

    メトロポリタン美術館が #あつまれどうぶつの森 に参戦。40万点の作品画像が使い放題いま、世界の美術館のあいだで新たなプラットフォームとして注目を集めている、任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」。ここに、世界最大級の美術館であるメトロポリタン美術館が参戦した。 メトロポリタン美術館ウェブサイトより 新型コロナウイルスによる外出自粛が世界的に続くなか、バーチャルワールドとして人気を博しているNintendo Switchの「あつまれ どうぶつの森」に、美術館も熱い視線を投げかけている。 中国・北京の私設美術館「木木美術館」(M WOODS)がバーチャル美術館を開館させ、アメリカ・ロサンゼルスのゲティ美術館がゲーム内に作品を飾れるアートジェネレーターを公開するなど、にわかに活気づいている「あつ森」。ここに、世界最大級の美術館として知られるメトロポリタン美術館が参戦した。 メトロポリタン美術

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  • 合法と違法の線引はどこに? 現代美術のアプロプリエーション

    合法と違法の線引はどこに? 現代美術のアプロプリエーション現代美術の手法のひとつ「アプロプリエーション」は、過去の他者の作品の一部または全部を自身の作品に取り込むものとして、様々なアーティストたちが実践してきた。しかしアプロプリエーションをめぐっては裁判沙汰に発展するケースもある。そこで今回は過去の判例を紹介し、時代とともに変わるアプロプリエーションの受容のされ方を紐解く。 文=木村剛大 アンディ・ウォーホル 花 1964 出典=クリスティーズ・ウェブサイト (https://www.christies.com/lotfinder/Lot/andy-warhol-1928-1987-flowers-6141800-details.aspx) 1964年11月にニューヨークのレオ・キャステリ・ギャラリーで発表されたアンディ・ウォーホルの「花」シリーズ。コレクターの間で大人気となり1000点近

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  • 新五千円札・津田梅子の肖像画をめぐって。画家・諏訪敦が語る「なぜ、人物像を反転してはならないのか」

    新五千円札・津田梅子の肖像画をめぐって。画家・諏訪敦が語る「なぜ、人物像を反転してはならないのか」日銀行券と五百円貨幣のデザインが、2024年度上半期に刷新される。発行に先駆け今年4月9日に新デザインが発表されたが、その後、新五千円札に使用された津田梅子の肖像画が反転していることがSNSや主要メディアによって指摘されている。この件について、数多くの肖像画を手がけてきた画家・諏訪敦に話を聞いた。 津田梅子 画像提供=津田塾大学 日銀行券のデザインが、2024年度上半期に刷新される。今年4月9日には千円から一万円までの各紙幣、五百円貨幣の新デザインが発表されたが、「新五千円札に使用された津田梅子の肖像画が反転しているのではないか」との声がSNSや主要メディアから上がっている。 この指摘に対し、菅義偉官房長官は16日の記者会見で、「(紙幣デザインは)様々な写真を収集し、それらを参考に国立印刷

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  • スバルビル解体で《新宿の目》はどうなる? 所有者の小田急は撤去を否定

    スバルビル解体で《新宿の目》はどうなる? 所有者の小田急は撤去を否定東京・西新宿にあるスバルビルの最後のテナントだったマクドナルドが7月21日をもって閉店する。スバルビルの解体が予定されるなか、同ビル地下にある東京を代表するパブリック・アートのひとつ、《新宿の目》の行方に注目が集まっている。 新宿駅の西口地下広場で行き交う人々を見つめてきた巨大な目。東京在住者であれば一度は目にしたことがあるのではないだろうか。 その名も《新宿の目》と題されたこの作品は、1969年に彫刻家・宮下芳子が制作したパブリック・アート。瞳の高さは3.4m、横幅は10mにもおよぶ作品の内部には照明が埋め込まれており、瞳の部分が回転する。新宿という喧噪の中で、強い存在感を放ってきたこの作品に、撤去の可能性が出てきた。 新宿駅西口地下広場にある《新宿の目》 同作が設置されているのは、小田急が2011年に富士重工業から所得

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    morobitokozou
    morobitokozou 2018/06/27
    “同作を所有する小田急電鉄に問い合わせたところ、「当面は撤去する予定はない」とのこと。しかし、この「当面」がいつまでを意味するのか”
  • すべて日本初公開! 「だまし絵」の巨匠・エッシャーの大規模展覧会が開催決定

    すべて日初公開! 「だまし絵」の巨匠・エッシャーの大規模展覧会が開催決定「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」で知られるマウリッツ・コルネリス・エッシャーの回顧展が、2018年6月から上野の森美術館で開催。世界最大級のイスラエル博物館のコレクションが来日し、代表作を含む約150点が日で初めて公開される。 滝 Waterfall 1961 All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V. - Baarn -the Netherlands. Used by permission. All rights reserved. www.mcescher.com 「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」の分野で、唯一無二の独創的な作品を数多く生み出したマウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898〜1972)。コンピューターの存在しない時代に制作された緻密で

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  • Instagramに連日投稿される 「レシート・ドローイング」。 謎多きアカウント @monkpicturesの実態とは?

    Instagramに連日投稿される 「レシート・ドローイング」。 謎多きアカウント @monkpicturesの実態とは?プロフィールもリンクも記載されていない Instagramのアカウント@monkpicturesをご存知だろうか。飲店でのレシートにドローイングを施した写真が連日投稿され続け、その蓄積は膨大だ。描かれているのは、河原温やソル・ルウィットなど、どれも現代美術を牽引してきた巨匠たちの代表作ばかり。コンセプチュアルな投稿を繰り返すアカウントの実態とは? Instagramのアカウント「@monkpictures」をご存知だろうか。このアカウントには、プロフィールもリンクも何も記載されていない。連日レシートの写真が投稿され続け、いまやその蓄積は膨大だ。 気になるレシートの内容は「SUSHI」「NOODLE」「NY CHEESE CAKE」「PAD THAI」など。おそらくアカ

    Instagramに連日投稿される 「レシート・ドローイング」。 謎多きアカウント @monkpicturesの実態とは?
  • マンチェスター市立美術館がウォーターハウスの《ヒュラスとニンフたち》を撤去。非難が殺到

    マンチェスター市立美術館がウォーターハウスの《ヒュラスとニンフたち》を撤去。非難が殺到イギリスのマンチェスター市立美術館が、 J. W. ウォーターハウスの《ヒュラスとニンフたち》(1896)の一時的な撤去に乗り出し、騒動となっている。 昨年、ニューヨーク・メトロポリタン美術館に展示されているバルテュスの《夢見るテレーズ》に対して起こった撤去要請運動が記憶に新しいが、今回は美術館側の自主的な撤去が行われたようだ。 問題となったのは《ヒュラスとニンフたち》。これは、ギリシャ神話から主題を得た作品で、若々しい裸のニンフたちがヒュラス国王を池の中に誘う場面を描いたもの。同美術館では同様の作品が数点「美の追求」と題されたスペースに飾られているが、女性を「受動的な着飾り」や「ファム・ファタル」とする「非常に時代遅れ」な表現であると当該学芸員クレア・ギャナウェイにより注意書きがなされていた。今回同館は

    マンチェスター市立美術館がウォーターハウスの《ヒュラスとニンフたち》を撤去。非難が殺到
  • パン人間はなぜ「処刑」されたのか? 折元立身が見せた「思いやりと暴力」を紐解く|美術手帖

    パン人間はなぜ「処刑」されたのか? 折元立身が見せた「思いやりと暴力」を紐解く顔一面にフランスパンをくくり付けた「パン人間」や、アルツハイマー症の母の介護を作品とした「アート・ママ」シリーズなどで知られる折元立身が10月22日、川崎市岡太郎美術館で「26人のパン人間の処刑 川崎市岡太郎美術館 2017」を行った。 「26人のパン人間の処刑」パフォーマンスの様子。右が折元立身 撮影=大坂崇 ©アートママファンデーション 世界中のどこにでもあり、誰にとっても身近な「パン」。これを顔面にくくりつけたパフォーマンス「パン人間」で昨今、大きな話題を集めている折元立身が10月22日、地元である川崎の岡太郎美術館で「26人のパン人間の処刑 川崎市岡太郎美術館 2017」と題したパフォーマンスを行った。 これまで、川崎市市民ミュージアムをはじめ、世界各国で行われてきた「26人のパン人間の処刑」(以

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