内田吐夢監督は、中村錦之助主演で「宮本武蔵」五部作を1960年から一年一作で製作しています。 映画「真剣勝負」に登場する宍戸梅軒に関する挿話は原作の重要なエピソードですが、実は先に製作された五部作からはオミットされています。 これは、「宮本武蔵」特別上映の際に刊行されたパンフレットに載っていた錦之助の談話によれば、内田吐夢にとって宍戸梅軒のエピソードは重要度があまりにも高いため、五部作には入りきらなかった、という事のようです。 しかし内田吐夢と錦之助はどうしても宍戸のエピソードを実現したくて、なんとか映画化にこぎつけました。内田&錦之助の五部作は東映製作ですが、当時東映は既にやくざ映画路線(それも当時若干下火になっていて、深作欣二などの実録路線に移行しようとする時期でした。「仁義なき戦い」が出現するのはこの2年後です。)であり、「真剣勝負」は東宝によって製作されています。 映画は質問者さん