安倍晋三首相が経済政策「アベノミクス」の「果実」の一つとして誇示しているのが、税収増です。「この3年半のアベノミクスによって、国、地方を合わせた税収は21兆円増加した」と述べています。しかし首相の言い分をうのみにすることはできません。 財務省と総務省によれば、「税収の21兆円増加」とは、2016年度の当初予算の税収見込み額を、安倍政権発足以前の12年度の額と比べた数字です。 この間に、国の税収は42兆3千億円から57兆6千億円へ15兆3千億円増加。地方の税収は36兆4千億円から41兆9千億円へ5兆5千億円増加。合わせて20兆8千億円増えたというのです。 問題は、この税収増を経済政策の“成功の果実”だといえるのかどうかです。 国・地方9兆円 まず、「21兆円」には安倍政権が14年4月に実施した8%への消費税率引き上げによる税収増が含まれています。消費税収は国と地方を合わせて実に9兆円も増えま