装いやたたずまい、醸し出すムード。スタイルにはその人の生きてきた道、生き様が自ずとあらわれるもの。美しい空気をまとう先輩たちをたずね、その素敵が育まれた軌跡や物語を聞く。第4回は、一瞬にして人の心の奥まで届く不思議な吸引力のある花の世界を展開する、フラワーデザイナーの市村美佳子さん。“好きなこと”を礎に歩んできた、その人生のワンシーンを覗きこむ トサミズキの束を抱えてアトリエへ向かう市村さん。主宰する「エプロン商会」のキッチンコートと「around」のパンツというワークスタイルで大振りの枝を肩にのせた姿は、季節外れのサンタクロースのよう 素敵とかセンスがいいという物差しでは語れない──市村美佳子さんのいける花には、清濁を併せ持った魅力がある。市村さんの言葉を借りると「切花には特別な力があり、生きている花にしかできない驚きや感動がある」という。花に宿る健やかなエネルギーを凝縮していけるには、