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苅谷剛彦さんの『学力と階層』が朝日文庫から文庫化されて出た。その解説を書いた。 苅谷さんの「意欲格差」や「学習資本」というアイディアに私はつよい影響を受けており、『下流志向』や『街場の教育論』で展開した考想は苅谷さんの『階層化日本と教育危機』がなければ書かれなかったはずのものである。 その感謝をこめて書いた解説である。とりあえずこれを読んでから、書店に走ってください。 最初に読んだ苅谷剛彦さんの本は『階層化日本と教育危機』で、その頁を開いたのは、講演のために東京から千葉に向かう総武線の車内でのことだった。手に赤鉛筆を持って、傍線を引きながら読み進んだ。しだいに赤線が増えてきて、ついに一頁全体が真っ赤になったころに、降りる駅についた。本を閉じるときに、文字通り「後ろ髪を引かれる」思いがしたことを、駅前の寒空とともに身体がまだ記憶している。 日本の教育危機の実相について、私の現場の実感とこれほ
2011年秋の中間決算発表で、パナソニックは、12年3月期決算の当期純利益(最終益)が4200億円の赤字に陥るとの見通しを発表した。これは、02年3月期の4310億円に次ぐ、史上2番目の大赤字だ。 シャープの11年4〜9月期決算は、最終益が398億円の赤字となった。ソニーは、12年3月期決算で同900億円の赤字になる見通しだ。これでソニーは4年連続の赤字となる。9月期中間決算では、パナソニック、ソニー、NEC、シャープの4社が最終益赤字となった。 テレビ事業に限らず、一般に日本企業の業績は振るわない。そしてこれは円高によるところが大きく、また、法人税率が高いなどの「六重苦」のためだと言われる。そして、企業の外部環境が悪化したにもかかわらず、政府が適切な政策を取らないからだとされる。 しかし、そうなのだろうか? 為替レートについて言えば、数年前と比べて円高になったのは事実だし、名目レー
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