草稿ともいわれるが,靄に包まれて見え隠れする松林のなにげない風情を,粗速の筆で大胆に描きながら,観る者にとって禅の境地とも,わびの境地とも受けとれる閑静で奥深い表現をなし得た。等伯(1539-1610)の画技には測り知れないものがある。彼が私淑した南宋時代の画僧牧谿の,自然に忠実たろうとする態度が,日本において反映された希有の例であり,近世水墨画の最高傑作とされる所以である。
草稿ともいわれるが,靄に包まれて見え隠れする松林のなにげない風情を,粗速の筆で大胆に描きながら,観る者にとって禅の境地とも,わびの境地とも受けとれる閑静で奥深い表現をなし得た。等伯(1539-1610)の画技には測り知れないものがある。彼が私淑した南宋時代の画僧牧谿の,自然に忠実たろうとする態度が,日本において反映された希有の例であり,近世水墨画の最高傑作とされる所以である。
本の表紙や絵本の挿絵など、さまざまなジャンルを手がけたイラストレーターの和田誠さんが今月7日、東京都内の病院で、肺炎のため亡くなりました。83歳でした。 たばこのパッケージのデザインをはじめ、書籍や雑誌の表紙、それに、絵本の挿絵など、さまざまな分野のイラストやデザインを手がけ、日本のグラフィックデザイン界をリードしてきました。 また、エッセーや絵本など、数多くの書籍を出版したほか、映画監督としても活動し、平成6年には、さまざまな文化的な分野で業績を上げた人に贈られる菊池寛賞を受賞しています。 事務所によりますと、和田さんは去年から体調を崩し、自宅で療養していましたが、ことし7月に都内の病院に入院し、今月7日、肺炎のため亡くなったということです。83歳でした。 和田さんの妻で、料理愛好家の平野レミさんは、「最後は家族みんなに見守られながら、安らかにお別れをしました。肺炎を患ってからはごはんを
国際政治学者を名乗るコメンテーターの三浦瑠麗が、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展 その後」についてツイッターに連投。 《大衆的な民主主義の時代においては、一番の権力者は民衆です。彼らに全く受け入れられない「アート展」には持続可能性がありません。公共の場を借りた展示が、多くの人の学習意欲を満たし、十分に教育的で説明的であってほしい、という需要に応えるものになっていくことが求められている結果です》 頭がクラクラ。これは企画展の是非や補助金の不交付がどうこうといった問題がぶっ飛ぶほどの恐ろしい発言だ。 要するに三浦は「一番の権力者」に「受け入れられない」アートを否定しているわけだ。 ナチスですか? ヒトラーは印象派などの近代美術を「退廃芸術」として攻撃。芸術を「学習意欲を満たし、十分に教育的で説明的」なものに限定していった。スターリンも芸術を「学習」「教育」のために利用
あいちトリエンナーレ補助金不交付の支離滅裂 法的根拠も合理性もなし。法の支配を歪め、行政運営の根本も揺るがす過った決定 米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士 「あいちトリエンナーレ2019」に対して、審査され採択が決まっていた約7800万円の補助金について、文化庁がこれを覆して全額を不交付にしたことが議論を呼んでいます。 そもそも「表現の自由を損なう」という点で大きな問題だと思いますが、私はそれと同等かそれ以上に、「法の支配を歪める」「行政の安定的運営を損なう」という点においても極めて問題が多いと思っています。日本の行政が危機に瀕しているといっても過言ではありません。 表現の自由を大きく損ねる決定 まず「表現の自由」についてですが、不交付決定に関して文化庁が示している“公式な理由”はさておいて、その実質的理由が、「あいちトリエンナーレ2019」の一部である「表現の不自由展・その後」で議論
公金を使って政治性のある展示は行うべきではないのではないか。多くの人が不快だ、心を傷つけられたと問題視する作品は、表現の自由の保護の対象となるのか。「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」(座長=山梨俊夫・国立国際美術館長)が25日に公表した中間報告では、「表現の不自由展・その後」の中止をめぐって、多くの人が疑問に感じたことへの答えが示されている。法律や美術、文化政策の専門家が検証した主なポイントと、検証委の見解は以下のとおり。 ●政治家の発言も表現の自由ではないか。 →政治家の発言は、純粋な個人的発言とみなせない。内容によっては圧力となりえ、(広い意味での)「検閲」とも言いうるので、慎重であるべきだ。また、報道等で広く拡散されることで度を越した抗議を助長する点でも慎重であるべき。 ●「過去に展示中止となったものを集め、あえて公立美術館で展示することに意義がある」という考え方は、トリエン
「嫌なら見なければいい」という事例だと思うんですよね。 津田大介さんへの好悪は人それぞれあると思いますけれども、それよりも表現の自由の原則のほうが大事です。 だからこそ、いろんな圧迫があって表示や展示ができなかった作品を集めた不自由展のはずで、ギリギリのところまで踏ん張って展示しようとした津田大介さんの気持ちはまあ分かります。 社会に潰されてきた表現の自由を訴求するはずが、イベント自体がそういうネタになってしまったという。ただ、表現の自由を考えるならば、こういう一定の人々にとって不愉快な表現こそ、許容されるべきなんですよ。日韓関係が悪化しているいまこそ、むしろ必要なイベントだったかもしれません。実際には、本当に日韓関係が悪化しているんだなということを証明するイベントになってしまったわけですが。 あいちトリエンナーレの慰安婦像騒動 表現の自由と特定のイデオロギーを並列したのは悪手だった【現場
京都市伏見区にあるスタジオの放火火災事件で被害に遭ったアニメ制作会社「京都アニメーション」(京都府宇治市)の八田英明社長は一夜明けた19日、京都市内で会見に応じ、社員33人が亡くなった事件について「断腸の思い。堪えきれない。こんな大惨事になるとは夢にも思わなかった」と思いを明かした。 【写真】火災で煙を上げるアニメ制作会社「京都アニメーション」のスタジオ 早朝から現場検証に立ち会った八田社長。その合間をぬって本社近くで報道陣に囲まれた。火事の発生直後、「最初はボヤぐらいか」と思ってに現場に駆けつけると、そこは黒煙が立ち上る現場。「車も近づけず、火の手が上がって中に入れなかった。消防隊員の方に“なんで3階に入れないんですか”と言いました。惨状でした」と振り返った。 被害にあった社員は全国各地から集まったアニメを志すエリートたち。「こんなかたちで将来を閉ざされてしまったことが残念で、残念でなり
俳優・小出恵介の未成年との淫行によって、お蔵入りとなった、ネットフリックスのドラマ『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』。 明石家さんまのプロデュースで、タレント・ジミー大西の半生を描くドラマだが、本来であれば、この7月に配信予定だった。しかし、小出の代役を立てて再撮影されることが決定している。 お笑いの仕事にこだわるさんまがドラマのプロデュースとは、なかなか珍しい仕事だが、そもそもなぜこの企画がスタートしたのか。実は、ジミー大西の借金を返済するためだったという。 ジミー大西が今年5月にテレビで語ったところによると、所属事務所の社員からお金を借りており、それを知ったさんまから 「社員に金を借りんな! なに考えてんねん!」と怒られてしまった。 しかしその後、さんまがこのドラマの企画でジミーに声をかけてくれたのだとか。「ジミーさんの借金を返すために、このドラマを始めたんですか?」と聞かれ、「
京都造形芸術大の東京キャンパスで公開講座を受けたところ、ゲスト講師から環境型セクハラにあって、精神的苦痛を受けたとして、受講していた女性が、大学を運営する学校法人「瓜生山学園」を相手取り、慰謝料など計約333万円の支払いをもとめる訴訟を東京地裁に起こした。提訴は2月22日付。 原告の大原直美さん(39)と代理人が2月27日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。大原さんは「講義内容が本当にひどいものだった」「セクハラを訴えたあとも、大学側の対応が、教育者としてあるまじき姿だった」「生徒を守ってくれないのは本当に残念だ」と心境を語った。 ●会田誠さんの講義でショックを受けた。 代理人などによると、大原さんは2018年4月から6月にかけて、京都造形大・東京藝術学舎で開かれた社会人向け公開講座(全5回)を受講した。ヌードを通して、芸術作品の見方を身につけるという内容だった。大原さんは、第3
太平洋戦争中の1942~43年、京都の真宗大谷派が東南アジアに派遣した東本願寺南方美術調査隊が、カンボジアの世界遺産アンコール遺跡群などを撮影したとみられるガラス乾板がみつかった。アンコール王朝(クメール王朝、9~15世紀)の代表的な寺院遺跡、アンコールワットの建物や浮き彫りの装飾などが写され、劣化が進む前の姿をとどめた貴重な写真もある。専門家は、所在不明となっていた調査隊の「幻の資料」の一部が確認されたとして注目する。 ガラス乾板は、ガラス板に被写体を写し込んだもので、フィルムが普及する前の明治~昭和のころによく使われた。今回みつかったのは縦12センチ、横16・5センチで計52枚。昨年末にネットオークションに出品され、東京都在住の収集家、浅田正春さん(65)が購入した。浅田さんによると、京都の解体業者から古物商に流れたものという。 12世紀前半に造営されたアンコールワットの西参道から撮影
話は一昨年にさかのぼる。 当時私は「サウダーヂ」という映画が見たくてたまらなかった。 rinriko-web.hatenablog.com 山梨を舞台に土方の青年たちを描いた凄まじい映画なのだが(感想はリンク参照)、この映画の製作者であるグループ「空族」は方針として作品のDVD化をしておらず、見るには劇場で放映される機会を待つしかない。いやいやいやいやなる早で見たい。都内のどこかで見られないものか。困っていたところに、フォロワーの人から「国立奥多摩美術館というところでリバイバル上映をやるらしいですよ」という情報がもたらされた。これは行くっきゃない。行くぞ! そしてたどり着いたのが、青梅だった。 ……いや、これ、どこ? 青梅市自体来たことがなかった。『怪談レストラン』のどれかに昔の青梅駅を舞台にした話があって、確か乗り過ごした電車の終着駅として青梅が出てくる。そのせいで青梅はなんとなく「最後
先週京都に行った際に相国寺の承天閣美術館で俵屋宗達の「蔦の細道図屏風」を見た。 見るのは二度目で、以前はどこで見たのだったろうか。最初に見たとき少々大げさだが心動かされ、今回見て、やはり素晴らしい、と思った。 蔦の細道図屏風は左右二枚からなっている。 左隻 右隻 まず構図と色づかい、蔦の筆致が抜群に素晴らしい。しかし、それ以上に素晴らしいのが屏風に込めた遊び心である。 蔦の細道図屏風は伊勢物語に材を取っているそうだ。男(在原業平)が東国への旅に出て、心細い思いをしながら駿河の国に来る。たまたま出会った修行者が旧知の人だった。都で待つ想い人に歌を託した、という話である。 屏風のほうは広い空、野原、蔦のあしらわれた道がはるかに続く広い世界を感じさせる。二枚並べると、野の広がりと山道に踏み込む前のかすかな心細さと昂ぶりを感じてもらえると思う。 実は左右を入れ替えてもつながるようにできている。 道
上野の東京国立博物館 平成館にて、特別展「名作誕生―つながる日本美術」が開催されています。会期は4月13日~5月27日。 教科書で見たあの名作が目の前に! 日本美術の歴史で生み出されてきた名品が集まる豪華な展覧会です。尾形光琳「八橋蒔絵螺鈿硯箱」や長谷川等伯「松林図屏風」、思い思いの遊びに興じる江戸の人々を生き生きと描いた「風俗図屏風」など、教科書でおなじみの国宝が数多く並びます(会期中の展示替えがあります)。 国宝 八橋蒔絵螺鈿硯箱 尾形光琳作 江戸時代・18 世紀 東京国立博物館蔵 【展示期間:4月13日~5月6日】 国宝 松林図屏風 長谷川等伯筆 安土桃山時代・16 世紀 東京国立博物館蔵 【展示期間:4月13日~5月6日】 さらに、2016年に行われた生誕300周年の回顧展では大行列ができて話題になった伊藤若冲の作品も見逃せません。生命力あふれる筆致でサボテンと鶏が描かれた「仙人掌
「私たちは、性の自由に不可欠なウザがられる自由を擁護する」 としてこちらに上げた翻訳の問題点を、トラックバックで明快に解説していただきました。。 私の翻訳は、要するに、 Nous pensons que la liberté de dire non a une propositon sexuelle ne va pas sans la liberté d'importuner. この一文を「相手を忖度しない自由が無ければ断る自由なんて無いも同然だよ!」と解釈して突っ走ったことに尽きるので、そこが誤っているとするとほぼ全面的に誤読していたと言うことになります。 やはり問題が多すぎると思いますので、早めに削除させていただきたいと思います。 拙訳について感想、誤りのご指摘および解説を下さった方々にはとても感謝しております。 非常に勉強になりました。ありがとうございました。 (こういっては何ですが
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