西山美香さん (40) の生育・行動履歴から専門家により「発達障害がある」との見立てを得る一方で、「発達障害だけならうそはつかない」とも指摘され、取材は暗礁に乗り上げた。 藁をもすがる思いで連絡した元同期入社の新聞記者で、精神科医に転身していた小出将則君 (59) に連絡を入れると、幸いにも彼が協力してくれることになった。臨床の現場で発達障害のある患者をすでに数百人診てきたという彼こそ、この分野の専門家だった。 (前回の記事:「発達障害」の物差しだけでは甘かった 元記者の精神科医の存在) 約束の日、小出君は名古屋市内にある中日新聞本社に自家用車で来た。名古屋市役所の産業医でもあり、その仕事を終えた帰りだった。夕方、受付係の女性から来客を知らせる連絡を受けた私は、5階の編集局からすぐに正面玄関に向かい、彼を出迎えた。 来客用の喫茶コーナーで、ドリンクの注文もそこそこに、西山さんの手紙のコピー