「息子が家の階段から降りてきて『ねえ、母さん、なんか食べるものない?』ってもう聞いてくることはないんです。自分自身が家族を失うという経験をして初めてその苦しみの重さに気付きました」 こう話すのはイスラム組織ハマスの奇襲攻撃で20歳の息子を失った母親。 それでも、復讐しゅうは望まないという。 ガザ地区での軍事作戦を支持する国民が多数を占めるイスラエル。 そこで反戦の声をあげ始めた母親の決意とは… (国際部 西河篤俊) ピアノの上に並べられた息子の写真 取材に応じてくれたのはイラナ・カミンカさん(49)。 イラナ・カミンカさん 去年12月、エルサレム近郊の彼女の自宅を訪ねた。 目に入ってきたのはリビングのピアノに所狭しと並べられた若い男性の写真。 長男のヤナイさん まだあどけなさの残る笑顔が印象的な男性は長男のヤナイ・カミンカさん。 10月7日、ハマスによるイスラエル側への奇襲攻撃で命を落とし