ユダヤ系でありながら「民族の祖国」イスラエルのあり方に疑問を呈してきた米国在住の人権活動家、アンナ・バルツァーさん(31)が初めて来日した。何度も現地を訪ねて見聞きした現実や「祖国」への思いを、東京や京都などでの講演で語る。 祖父母はホロコースト(ユダヤ人虐殺)を逃れ、米国に渡った。ユダヤの血を引く米国人だ。7年前、初めてイスラエル占領下のヨルダン川西岸を訪れると、パレスチナ人の土地に銃を持ったイスラエル兵が立ち、ユダヤ人の入植地建設が進んでいた。「祖国」へのあこがれとユダヤとしての誇りが崩れた。 ある朝、知人のパレスチナ男性から電話があった。夜中にぜんそくの発作で苦しみ始めた6カ月の息子を病院に連れて行く途中、検問中のイスラエル兵に「夜間の通行は禁止」と止められ、そのまま亡くなったという。 米国でイスラエルに否定的な報道は多くなく、自分の体験を語ることが怖かった。でも、黙っているこ