そんな天井にぶら下がった桶に後ろ髪を引かれながら、次に私が向かったのは更衣室。 ロッカーから私が引きずり出したのはなんか椰子の木のようなものが印刷された水着。そう、ここ「庭の湯」には全裸で入る温浴ゾーンと、水着を着用して入る「バーデゾーン」の二つのゾーンに分かれていて、水着さえあればバーデゾーンも楽しめるのだ。 しかし、夏だろうが海はおろかプールさえ行かないキューライスにとってこの水着を着るのは4年ぶりのこと。水着から「相変わらず色白ですね」という溜息が聞こえてきそうだった。 水着を着用し、恐る恐るバーデゾーンに入った。 円形に象られた温水浴槽、ガラス張りの壁面からは燦々と陽の光が注ぎ込み気持ち良い。身体に負担をかけずに、健康作りが出来るプール、それが「バーデ」、ドイツ語で「水遊び」とか「温泉」という意味らしい。 プールのようだが泳ぎ回ることは禁じられており、ゆっくり水中を歩いたり、勢い良