新型コロナウイルス禍で膨張した国の基金にようやくメスが入った。防衛費や社会保障費の増加が避けられない中、政府には財政規律の緩みをただし、国民負担の増加に理解を求める狙いがあるとみられる。 見直しは「基金はコロナで水ぶくれした予算の象徴だ」と指摘してきた河野太郎行政改革担当相が主導。岸田文雄首相も1月の施政方針演説で基金見直しの推進を強調していた。
報道陣のぶら下がり取材を受ける大阪市長時代の橋下徹氏=大阪市北区で2015年6月10日、梅田麻衣子撮影 日本維新の会を創設した橋下徹・元大阪府知事が、れいわ新選組・大石晃子共同代表(衆院議員)へのインタビュー記事で名誉を毀損(きそん)されたとして、記事を掲載した日刊現代(東京)と大石氏に計300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁であった。小川嘉基裁判長は「大石氏の発言は真実であり、不法行為は成立しない」として請求を棄却した。 判決によると、日刊現代は2021年12月、政治家時代の橋下氏の報道対応について大石氏が「気に入らないマスコミをしばき、気に入らない記者は袋だたきにする」「あめとムチでマスコミをDV(ドメスティックバイオレンス)して服従させていた」と話すインタビュー記事を「日刊ゲンダイデジタル」などに掲載した。
警視庁前に掲示された桐島聡容疑者を指名手配するポスター=東京都千代田区の警視庁で2024年1月26日午後5時11分、猪飼健史撮影 1974~75年の連続企業爆破事件のうち一つに関与した疑いがあるとして指名手配されている過激派「東アジア反日武装戦線『さそり』」メンバーの桐島聡容疑者(70)とみられる男性が神奈川県内で建設関係の仕事に就いていたことが、捜査関係者への取材で判明した。本人しか知り得ない情報を話しているといい、警視庁公安部は桐島容疑者本人の可能性が高いとみているが、県内の病院に入院中で重篤な状態という。公安部は任意で調べを進める方針。 捜査関係者によると、桐島容疑者とみられる男性は職場の同僚に付き添われ、来院した。入院したのは1月に入ってからで、健康保険証や運転免許証など身分を示す物は所持しておらず、自費で診療を受けているとみられる。
能登半島地震では半島の北側の広い範囲で、国内の観測史上、最大規模の地盤隆起が起こったことが明らかになってきた。漁港の海底は干上がり、漁業再開は極めて難しい状態に陥っている。津波の観測にも支障をきたした。研究者も衝撃を受けたという地殻変動はなぜ起こったのか。 海底露出で津波観測計も機能せず 日本地理学会によると、今回の地震で、能登半島の北側の海岸線が約90キロの範囲で沖方向に広がった。特に隆起が大きかった石川県輪島市門前町黒島町では、海岸線が約240メートルも沖側に前進したことが確認されている。海岸線の地盤は、最大で約4メートルも隆起して高くなった。 県の漁獲量は2021年、全国で19番目を記録した。大半は、豊富な魚礁がある能登半島で水揚げされたものだ。特に半島北側の「外浦」と呼ばれる海域ではこの時期、ズワイガニやアカガレイなどの漁が最盛期を迎える。しかし、輪島市や珠洲市、志賀町の19港で、
差別や不謹慎さを含む表現を許さない「ポリティカルコレクトネス(政治的正しさ)」という概念が社会を覆い、表現者の間には萎縮ムードが広がる。ポリコレと表現の自由はどうバランスを取るべきか。ポリコレに詳しい武蔵野美術大の志田陽子教授(62)=憲法学=に聞いた。 ――ポリコレという言葉を最近よく耳にします。 ◆本来は「気付きを促す対抗言論」という考えです。米国では1960年代に公民権運動が活発化し、長年差別を受けてきた黒人や女性が「NO」と声を上げました。ポリコレという言葉はその過程で生まれ、「法的にはアウトではないが、政治的にはアウト」ということを明確に突きつけるものです。マイノリティーがマジョリティーと対等な立場で「私たちを傷付けている」と相手に気付かせる。ポリコレはそうした足場を支える重要な役…
長崎県が有害図書に指定した漫画「マンホール」の一場面。手足が泥まみれの男が商店街を歩くシーンが「有害」とされた=仙台市で2023年9月11日午後6時48分、小川祐希撮影 暴力や性表現を含む有害図書(東京都では不健全図書)に指定されると、作品の流通や作家の創作活動にどんな影響があるのか。2009年に著作が長崎県から有害図書に指定された漫画家、筒井哲也さん(48)に聞いた。 「有害図書」規制のあり方を有識者に聞く連載は、以下のラインアップです。 ▽漫画のエロ・グロ表現で犯罪が起こる? 「はじめの一歩」作者の憂い ▽“寸止め”パンチでボクシング描けない 有害図書規制と表現の萎縮 ▽「表現の自由のため」じゃない 漫画家が有害図書規制と闘うワケ ▽科学的根拠ない「萌え広告」規制はダメ 議員になった漫画家の警鐘 ▽性表現は「理性的な基準で吟味を」 憲法学者がみた有害図書規制 ▽形骸化する「不健全図書」
東京電力福島第1原発からの処理水の海洋放出を巡っては、SNS上で「トリチウム以外の放射性物質を測定していない」との投稿もみられる。実際はどうなのだろうか。 東京電力や環境省、水産庁が実施している従来のモニタリングは、福島第1原発の周辺で採取した海水や魚から、トリチウム以外の放射性物質も測っている。対象はセシウムやストロンチウムなど数種類だ。ただし、試料に含まれるごくわずかな放射性物質の量を正確に測るため、結果が出るのに1カ月前後かかる。 このため放出開始を見越し、各機関は2022年度から、トリチウムのみを対象にしたモニタリングを新たに加え、地点や頻度を増やした。迅速な分析を優先し、水質に異常がないかいち早く検知するためだ。
一般社団法人「Colabo(コラボ)」は1日、虐待や性暴力を受けて家に居場所がない少女らを支援する活動について、寄付金で継続すると発表した。これまで、公的な事業として展開していたが、東京都による新事業の枠組みでは、「安心した支援につながらない」として、補助金の申請を断念したという。 公的機関につながりにくいとされる少女らの支援は行政と民間団体が協力して取り組む。コラボの活動は2018~22年度、都の委託事業となっており、各年度約1000万~4600万円が計上されていた。 都は「多くの団体による得意分野を生かした支援を目指す」とし、23年度から支援団体を公募し、補助金を支出する仕組みに移行した。支援団体には新たに、▽活動日報や個人別支援記録の作成▽都の要請に応じた支援記録の開示――などを求めた。
アムウェイが契約した会員に配布した資料など=東京都内で2022年10月14日午後2時40分、藤沢美由紀撮影 消費者庁は14日、「日本アムウェイ合同会社」(東京都渋谷区)に対し、連鎖販売取引(マルチ商法)について社名や目的を言わずに勧誘したことなどが特定商取引法違反に当たるとして、6カ月の取引停止命令と、再発防止策を講じることなどを求める「指示処分」を出した。同社への行政処分は初めて。 この処分で連鎖販売取引についての勧誘や契約などが禁じられるが、会員同士の売買は可能だ。 同庁によると、社名や目的を言わずに勧誘した▽目的を告げずに誘った相手を密室に連れ込んで勧誘した▽相手の意向を無視して一方的に勧誘した▽契約締結前に書面を交付しなかった――という4種類の違反を確認したという。
安倍晋三元首相の国葬に関し「反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだった」とツイッターに投稿した三重県の小林貴虎県議(48)=自民=が6日、記者会見し「投稿の内容は誤りであり撤回する。関係者の方に迷惑をかけ、深く反省している」と述べた。自身のアカウントを5日夜から非公開にしており、県議会などで「悪質なデマ」と批判された発言の経緯や投稿の意図を明確にしないまま、幕引きを図った形だ。 小林氏は、騒動の発端となった投稿に加え、根拠を問われて「高市早苗先生が、政府の調査結果としてお伝えいただいた内容」と書き込んだツイートも、すでに削除したとしている。
「銀ぶら」の語源は「銀座でブラジルコーヒーを飲むこと」だとする説が、インターネットなどで拡散し、外務省のホームページでも紹介されている。しかし、正しい意味は「銀座をぶらぶら散歩すること」であり、ブラジルコーヒー説は誤りだ。(ファクトチェックの判定基準)【藤沢美由紀/デジタル報道センター】 外務省は「ブラジルコーヒー説」採用 「銀ぶら」の語源について見聞きしたことはあるだろうか。ネットやSNSで検索すると、「諸説あります」といった言葉とともに、ブラジルコーヒー説を取り上げたニュースや投稿が複数出てくる。 毎日新聞も2014年9月29日の夕刊コラムで、筆者の「お袋の説」として、ブラジルコーヒー説を取り上げた。複数のネットメディアは、18年11月の民放のクイズ番組で、ぶらぶら説とともに、ブラジルコーヒー説も「語源」だとされたことを報じている。 外務省のホームページは、ブラジルコーヒー説を採用して
衆院選投開票日を迎え、投票する有権者=東京都千代田区で2021年10月31日午前10時17分、宮間俊樹撮影 全国で400万票もの票が「案分票」となっていたら、公正な選挙と言えるだろうか――。10月31日に投開票された衆院選の比例代表で、立憲民主党と国民民主党がそろって略称を「民主党」として届け出たため、得票の割合に応じて票を振り分ける「案分票」が大量に生じた可能性がある。静岡県の場合、静岡市葵区で7955票もの案分票が発生。有権者の「1票」にかけた思いが正しく反映されなかったといえる。【石川宏】 両党は公職選挙法に基づき、略称をともに「民主党」として中央選挙管理会に届け出た。中央選挙管理会は政党の略称について異議をとなえることができず、そのまま受理した。結果的に全国で膨大な案分票が出た。
10月31日の衆院選と同時に実施された最高裁裁判官の国民審査は、1日夜に開票結果が発表され、審査対象の裁判官11人全員が信任された。今年6月の大法廷決定で、夫婦別姓を認めない民法の規定に「合憲」との意見を述べた4裁判官の罷免を求める率がいずれも7%台となり、上位4人となった。地方より都市部でこの4氏の罷免を求める傾向が顕著に出ていた。 審査対象となったのは、2017年の前回選挙後に任命された11人。6月の決定で「合憲」の多数意見に加わったのは、深山卓也、林道晴、岡村和美、長嶺安政の4氏(告示順)。罷免を求める票は、深山氏の449万554票(罷免率7・85%)が最多。林氏441万5123票(同7・72%)、岡村氏416万9205票(同7・29%)、長嶺氏415万7731票(同7・27%)と続いた。
警察庁は5日、2020年1月から21年6月までの1年半に自宅で容体が急変して死亡し、全国の警察が変死などとして取り扱った人のうち、計443人から新型コロナウイルスの感染が確認されたと明らかにした。立憲民主党の会合で明らかにした。 自宅や路上など医療機関以外で体調が悪化して死亡した人のうち、コロナの…
千葉県習志野市に設置された立ち入り禁止の立て札。後方は消毒薬を散布するヘリコプター=1964年8月27日 祭典のさなか、新型コロナウイルスの感染急拡大に騒然とする日本。だが1964年の東京オリンピック開幕直前にも、今と似た状況があったことを覚えている人はいるだろうか。千葉県習志野市で64年8月に死亡した男性がコレラに感染していたことが判明。国内18年ぶりの発生に一帯は「封鎖」され、東京都心にも予防接種の長い列ができた。男性が亡くなるまで看護した村上テイさん(77)は今も当時のことを鮮明に記憶している。村上さんが振り返る57年前と、今の違いとは。 「米のとぎ汁のような下痢が止まらなくて。その便を持って検査室に運んだり、あらゆるところから点滴をやったり。怖かったけど、…
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は19日、4日後に迫る五輪の開会式で楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾氏(52)の辞任を発表した。同級生をいじめていたとする過去のインタビューなど一連の騒動を受けて小山田氏から辞任の申し出があった。組織委は小山田氏に続投を求めていたが、批判の高まりを受けて一転、「誤った判断」として受け入れた。 小山田氏はツイッターで「私がご依頼をお受けしたことは、様々な方への配慮に欠けていたと痛感しております。組織委員会の皆様へ辞任の申し出をさせて頂きました」とつづった。
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