ある学生から「投資銀行って、どうですか?」と相談を受けました。そのとき答えたことを書きます。 学生:投資銀行で働いて、正直、どうでした? 僕:痛快だったと思う。 学生:どこらへんが? 僕:僕が携わったのは株式のセールスや引受けの業務で、とりわけ新規株式公開(IPO)にまつわる仕事が多かった。これはたとえて言えば産婆(さんば)の仕事だ。新しい企業が株式市場にデビューするのをお手伝いするわけだ。すんなり行く場合もあるし、難産の時もある。企業にとって決定的な節目となる瞬間に関わることが出来る仕事は、やりがいがある。 学生:でも自分が上場するわけじゃないですよね? 僕:そうだ。我々に残るのはツームストーン(墓石)と呼ばれるクリスタルに閉じ込められた記念の置物くらいだ。これはそのディールの成功に特に貢献のあった社員だけに配られる。それを蒐集するわけだ。 学生:仕事きついですか? 僕:投資銀行は大別し