テクノロジーの進歩は、経済の血液たる「通貨」にまで及ぼうとしている。今後コインの種類こそ変わっても、仮想通貨がなくなることはないだろう。だが社会が新しい血に慣れる上で、副作用は避けられないのかもしれない。 4月24日、マーティン・ケッペルマン(31)、ステファン・ジョージ(29)、マット・リストン(25)の3人は、それぞれのノートパソコンを長い木の食卓に据えた。 3人は来きたるべき“人工知能のカンブリア爆発”を見据え、分散型予測市場プラットフォーム「Gnosis(グノーシス)」を2年がかりで開発。一般の人々から資金調達をしようとしていた。 目標額は1250万ドル。ただ、受け入れるのはドルではなく仮想通貨の「イーサリアム」のみ。これは「新規仮想通貨公開(ICO)」と呼ばれる新たな形態のクラウドファンディングだ。キックスターターのように、サポーター(支援者)が完成後のプロダクトを受け取ることは