・原因や対策については根拠となるファクトがない。根拠となるファクトが明示されているのは誤解や偏見に関してだけ。 本書には多くの人が抱いている誤解や偏見について統計との乖離や作者自身の体験を紹介している。これらはファクトに基づいている(書かれていることがウソでないなら)。 しかし原因と対策については根拠となるファクトが示されていない。多くの場合、著者の体験を紹介し、それを一般化して人間の「○○本能」と名付けている。ネット上にある詳細な脚注にも、はっきりと仮説にすぎないと自ら書いている。(参照:Detailed Notes、翻訳者上杉周作氏による『ファクトフルネス』ウェブ脚注) 仮にさまざまな認知科学の本を参考にしたとしても、あくまで仮説=著者の個人的意見にすぎない。これは本書で禁じている過度なパターン化に当たる。統計的な検証なしにある事実とその原因(ここでは○○本能)を結びつけることはできな