フランスでは政治の分断が著しく、左派と右派双方でポピュリズムの台頭が著しい。2022年6月の議会選挙ではマクロン大統領率いる中道のアンサンブルは過半数を取れず、メランションが率いる急進左派の連合、ル・ペンが率いる急進右派のグループが議席数で続く。 なぜこれほどポピュリズムが支持されるのか──、現代社会の分断を複数の著書で読み解いてきたイギリスのジャーナリスト、デイヴィッド・グッドハートに仏誌「ル・ポワン」が聞いた。 現代社会に分断が生まれた原因 ある概念を知ったおかげで、物事の核心が急につかめるようになることがある。イギリスの作家デイヴィッド・グッドハートが提示した「エニウェア族」と「サムウェア族」は、そんな概念の一つだ。 エニウェア族とは、大都市に暮らし、アウトソースされにくい仕事に就いている人たちのことだ。住む土地を変え、グローバル化の恩恵を受けてきた層である。一方、グローバル化の弊害