■連載/あるあるビジネス処方箋 私は昨年、春から年末にかけて50代の社員と仕事をする機会があった。そのとき、初めて中高年の社員を雇う側の大変さがわかるような気がした。男性社員は、社員数400人ほどの出版社に勤務する編集者だ。業界では業績はここ30~40年、上位10番以内に入り、正社員の賃金などをはじめ、労働条件はほかの業界の大企業と比べても見劣りしないほどである。 私は、2012年にデザイナーである知人の紹介でこの男性と面識を持った。その後、数年間のブランクがあったが、2018年に男性から連絡があり、3冊の本をつくることになった。男性が編集者として、私が書き手として関わる。1冊200ページを超える仕事ということもあり、当初の想像以上に精神的に苦しいものとなった。今回は、そのことを紹介したい。 意思疎通ができない 最も苦痛を感じたのは、彼と意思疎通ができないことだった。この場合の「意思疎通」