「楽天は銀行になれるが、銀行は楽天になれない」。小売りなど他業種が銀行業を展開する一方、銀行側には多くの業務規制がある現状をやゆした言葉だ。新型コロナウイルス感染拡大で銀行の金融インフラとしての役割が注目される中、自民党の金融調査会は銀行の業務規制を緩和するとともに、事業会社による銀行業参入のあり方も検討するよう求める提言をまとめた。 「銀行を規制でがんじがらめにしている時代ではない」。ブルームバーグとのインタビューで自民党政調副会長の木原誠二氏は、提言の背景には経営環境の変化があると述べた。楽天やソニー、ローソンなどが銀行業に参入し、フィンテック企業が送金を手掛けるようになったが、銀行は金融システム安定確保の観点から他業種への参入を制限されている。 低金利政策や人口減少で国内の預貸収益が低迷し、銀行は収益源の多角化に苦戦している。自民党のある議員は、1990年代以降の金融危機の際は多少痛