はじめに「起業」、「起業家」、「ベンチャー」、「スタートアップ」 大学時代に起業を志し、20〜30代を起業家・経営者として駆け抜けた僕にとって、郷愁さえ感じる言葉たち。甘酸っぱい香りまでたちあがってきそう。 僕は、「起業家」という職業の衣装を着ることが好きで、とても気に入っていた。あまりに愛着があり過ぎて、死ぬまで一生この生き方を貫くだろうと思っていた。 本当に。つい最近までは。 そんな僕が、起業家という衣装を脱ぎ捨てて、「農家」になった。 今では毎日、畑で野菜をつくっている。 起業家としての僕を知ってくれていた方たちにとって、突拍子もない変化に思われたことだろう。 当時は、「農家になる」という決断が自分の気持ちよりもずっと前を走っていて、なんでそんな決断をしたのか、自分でもうまく説明できない状態だった。 起業家としてのキャリアを断ち切った理由について、あまり説明を尽くさずに身をひいたので