挫折重ねて知った原点 (1)苦しみのプロ生活−元オリックス投手・川口知哉(平安高出) 「なんか見たことあるな、お兄ちゃん」。何気ない客の問いに「気のせいと違いますか」と笑顔で返す。今年1月から、城陽市で建設業を営む実家で働いている。フェンスやカーポートなどを設置する現場作業だ。球団からも就職先を紹介されたが、汗をかく仕事が性に合うと思った。「毎日がめいっぱいで充実している。プロで感じていた屈辱を思えば今の仕事が苦しいとは思わない」。妻と8カ月になる長男を養う。 7年間のプロ野球生活。春のキャンプは1軍で過ごし、開幕前に2軍落ちする繰り返しだった。出会ったコーチは計10人、全員が違うことを言った。「これだけ出てこれなかったのは自分の甘さ。でもコーチの影響力も大きい。どうしても合う合わないがある」。注目を集め入団した1998年2月のキャンプ。最初から歯車は狂っていた。 3日目のキャッチボール。