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ブックマーク / blog.livedoor.jp/iseda503 (6)

  • Daily Life:ヒュームの帰納の問題の再発見

    April 14, 2024 ヒュームの帰納の問題の再発見 ヒュームの帰納の問題は現代の科学哲学で帰納をめぐる哲学的問題を紹介する際、必ずといっていいほど言及される。このように定番になっていることから、「ヒュームの帰納の問題」がヒュームが『人間性論』を公にして以来一貫して哲学の大問題として論じられてきたような印象を持つ人も多いかもしれない。かく言う私自身も科学哲学の歴史について調べ始めるまで、当然のようにヒュームの帰納の問題が二百数十年来の大問題だったと想定してきた。 しかし、少し調べれば分かるように、19世紀前半から中頃にかけての「帰納」をめぐる論争(ハーシェル、ヒューウェル、ミルらによるもの)では、ヒュームが指摘した論点は全く顧みられていない(このあたりは『科学哲学の源流をたどる』でも少し紹介したし、以下でも触れる)。では、ヒュームの帰納の問題を哲学的問題圏の中央へと押し出したのは誰

  • Daily Life:大塚淳『統計学を哲学する』を読む

    August 02, 2021 大塚淳『統計学を哲学する』を読む [追記:この記事について大塚さんご人からリプライをいただいています。] 昨年出版された大塚淳『統計学を哲学する』は、日人の統計学の哲学者によるはじめての「統計学の哲学の」である。こうした科学哲学の先端の領域になかなか日の研究者が切り込めて来なかった中で、ついにこうしたが出版されるようになったことは大変慶賀すべきことだと思う。さらに言えば、書は決してただの解説書ではなく、大塚さんの独自のアイデアに溢れた、統計学の哲学の研究書である。特に、ベイズ主義と古典統計をそれぞれ内在主義と外在主義の認識論になぞらえて認識論的含意を取り出そうとするあたりは、他の追随を許さない独自の議論が多く展開されている。書は今後日で統計学の哲学について議論する際に常に出発点となることだろう。書は非哲学者も含めて広いリーダーシップを獲得し

    ChieOsanai
    ChieOsanai 2021/08/02
    伊勢田哲治によるツッコミ
  • Daily Life:演繹と帰納についてのノート

    July 09, 2015 演繹と帰納についてのノート 以前他の分野の研究者の方と仕事をしていて、演繹というのを「普遍命題から個別命題を導く推論」と理解している方がいて、現代ではその意味で演繹を使うことはまずないです、とコメントしたことがある。しかしそういえば、演繹と帰納という言葉の用法はどのように変遷してきているのか、調べたことはなかった。今後綿密な調査は必要になると思うがとりあえず目立つものをならべておく。(数学的帰納法についてベインとサモンの項及び結論部分に追記しました。誤記をいくつか修正しました) (1) Mill, J.S.  Systems of Logic (1843) 英米の科学方法論の教科書として19世紀には非常に大きな影響力を持った。ただし、演繹と帰納の関係についてのミルの解釈は独特で、あらゆる推論は帰納であると主張して論争をまきおこした。「演繹」と「帰納」という言葉

  • Daily Life:統計的研究に体験談で反論する人と、体験談は証拠にならないと思う人とが話をするためのチェックリスト

    October 22, 2015 統計的研究に体験談で反論する人と、体験談は証拠にならないと思う人とが話をするためのチェックリスト 以下のようなチェックリストを作ってみたので役に立ちそうだと思った方は使ってみてください。 統計的研究に体験談で反論する人と、体験談は証拠にならないと思う人とが話をするためのチェックリスト あなたは以下の主張のどこまでだったら(あるいはどれにだったら)同意できますか。 1 一般論として、人間の体のしくみにはまだわからないことが多い 2 そのため、一般論として、病気は良く分からない理由で治ったり治らなかったりすることがある。 2’この一般論は今問題になっている病気にもあてはまる 3 一般論として、ある治療をうけたあとにたまたま「良く分からない理由で治る」こともある 3’この一般論は、今問題となっている治療と病気にもあてはまる 4 そのため、一般論として、ある治療を

  • Daily Life:「フォードの内部メモ」をめぐる資料

    January 24, 2016 「フォードの内部メモ」をめぐる資料 フォードピントの「内部メモ」は技術者倫理教育でどう語られているか という記事で、現在の教科書でピント事件で有名になった内部メモの現在の語られ方を確認したが、それを正当に評価するには、「元ネタ」を確認する必要もあるだろう。以下、基礎文献の関連箇所を紹介していく。とりわけ、「メモ」の体である「グラッシュ=ソーンビー報告」の原文を確認することは非常に重要である。また、これが証拠として提出された裁判の判決文も見ておいた方がいいだろう。ということで、簡単にそれらの文献をまとめる。 1 『マザー・ジョーンズ』の記事 ピント事件に関連して「フォードの内部メモ」を有名にしたのはなによりも『マザー・ジョーンズ』誌に掲載された以下の記事にある。『マザー・ジョーンズ』は当時まだ創刊まもない市民運動系の雑誌だった(現在も発刊が続いている)。

    ChieOsanai
    ChieOsanai 2016/03/28
    フォードピント事件について
  • Daily Life:戸田山和久『科学的実在論を擁護する』書評

    March 27, 2016 戸田山和久『科学的実在論を擁護する』書評 戸田山和久『科学的実在論を擁護する』名古屋大学出版会 2015 http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0801-3.html 書は戸田山氏による格的な科学的実在論の研究書である。 まず、日語でよめる実在論論争史の紹介として、現時点で書がもっとも充実したものだということは間違いない。20世紀における論争の紹介内容は、シロスのScientific Realism: How Science Tracks Truth (Psillos 1999)という定評ある研究書を下敷きにしていることもあり(これについてはあとで触れる)、信頼性は非常に高い。また、21世紀になってからの動きとして、チャクラバティの「半実在論」(semi-realism)やスタンフォードの「新しい帰納法」など

    ChieOsanai
    ChieOsanai 2016/03/28
    "ところで『RATIO』の連載は、わたしのイントロダクションと戸田山氏の「感想戦」をつけて出版される予定だったのだが、戸田山氏が感想戦を結局書かなかったために出版計画が立ち消えになってしまった"
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